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†佰伍拾陸† “新たなる約束” ページ37








『…………面影様』

面影「ッ!?」








私は立ち上がって、面影様の手を強く握る。
彼は涙ぐんで目元を赤くしていて、
私の行動が読めないのか、キョトンとした顔になる。

思い付いたのだ。どうして私は早く
この事に気づけなかったのか。









『蛍丸様に会いましょう』

面影「ぇ…………ぁ、う…………」


『貴方は私に言いましたね。
私に蛍丸様を“元気付けてほしい”と。
でも本当は、貴方がしたいんじゃないんですか?』


面影「!」


『だったら、行きましょう。
大丈夫です…………私を信じてください』









私はがしりと大太刀を持ち上げた。
…………思ってたより重い。
これを面影様や蛍丸様、石切丸様も…………
いつも振り回してるのかと思うと
改めて刀剣達の力を知ったようだった。

おろおろしてる面影様の手を引っ張って、
私は中庭を目指した。




審神者の力…………眠っている物の想い、
心を目覚めさせ自ら戦う力を与え、振るわせる技。

“刀剣を人間の戦士に変える”という能力。



仮ではあるけれど、私にもその力があるのなら、
面影様の実体化も出来ないわけがない。
つまり、再顕現させると言う事だ。

巴形様や静形様も出来たんだ。
きっと…………会わせてやれる。



だって、感じるんだ。面影様の温もりを。
私の手から流れ出る私の霊力と面影様の神気。
それが結び付いている。
縁が、こうして結び付いている。

私には自信がない。
でも…………これはやらなきゃいけない。
私がやらなければならないのだ。


中庭に着いて、私は面影様の手を離した。
面影様も向き合うようにして、
私は彼自身である大太刀を両手で横に持ちあげた。









『私には、霊力がなければただの人間です。
この本丸を率いていた…………蛍丸様達を傷つけた
審神者と同じ…………人です。

人ほど愚かで弱い生き物はいない』


面影「…………き、み……」


『でも、人には人にしか成せないものがある。
私は蛍丸様の心を癒す蛍にはなれないけれど、
繋ぐことは出来る…………

蛍丸様を助けれるのは、側にいた貴方しか出来ない』









フワリと桜吹雪が舞った。
ざわざわとどこからともなく花弁が舞い散り、
視界を桜色に染め上げた。

そして、面影様を包んでいった。







Aside〜end〜

†佰伍拾漆†→←†佰伍拾伍†



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冷泉 雪桜(プロフ) - tomo10260403さん» コメントどうもありがとうございます!薄桜鬼も読んでくださって……感謝でしかないですね!これからもよろしくお願いいたします (2019年9月17日 12時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
tomo10260403(プロフ) - 冷泉 雪桜さまの作る作品の虜になりました!薄桜鬼も刀剣乱舞も一気に読んでしまって、小説を読むのが苦手なほうなのですが、のめり込むようにするすると入ってくる文章に、夢中です! (2019年9月16日 17時) (レス) id: f4aa91fff9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2019年9月6日 1時

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