検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:311,098 hit

†佰伍拾漆† ページ38

蛍丸side




“国俊、何しとるん…………何も見えへん”

“ほぇー国行の眼鏡こうなってるんだなぁ”

“目がチカチカする”







“今日も仲良いなぁ…………”









蛍丸「………………」









目が覚めた。またあの夢だ。
国行と国俊がいる世界。
それから、最近不思議だった。
知らない誰かの声がするんだよね。

あれは、誰だろ。国行でも国俊でもない声。
いつからか、夢で聞く声は三つになっていた。

優しくて、穏やかで。
その声がすると、安心した。

でも、夢から覚めたら二振りはいない。
隣にいない。俺しかいない…………
あの声も、夢から覚めたら聞こえなくなる。


朝は嫌い。何か静かだから。









蛍丸「(お腹空いたな)」









朝御飯、食べに行こ。
でもその前に、あの小川に行こうかな。
何だか…………寂しいから。


____________


いつも俺は中庭から畑に続くこの小川に来る。
一人でいたいときはいつもここで暇を潰していた。

ここは静かでいい。落ち着く。
蛍がいっぱいいて、俺のお気に入り。
ここで俺は国行と国俊、二振りで蛍を…………
…………蛍を、見たことが。







蛍丸「…………何で」







何で思い出しちゃうかな。
何で、ここで蛍を一緒に見た記憶だけ、
残ってるのかな…………

最悪だ…………
そう思えば思うほど、悲しくなる。
ぽっかり穴が空いていて、どうしようもなく
虚無感を感じてしまう。








蛍丸「国行、国俊…………」









その時、ガサガサって音がして、
俺は伏せていた顔をあげてみた。

…………目の前に、知らないやつがいた。
白い短い髪に、緑と赤の長いアホ毛のある、
背の大きなやつだった。
目があった。銀色の目の中に俺がいる。







蛍丸「…………誰?」

??「ッ…………」







その人は苦笑いして、困ったような顔をした。
それから、手を伸ばしてきて…………
俺の頭にその手が乗せられて。









??「ほたう、まう」

蛍丸「…………え?」


??「だ、だい、ジョウう。
いいコ、いいコ…………ひとい、じゃナイ」









頭を、撫でてきた。

…………どうして?俺、知ってる。
この声を、知ってる…………
ここに一人でいた時、決まっていつも
頭を撫でられるような感覚がしていた。

そうだよ、この手だ。
俺が寂しい時、いつも撫でてくれた。
その手を、声を…………俺は知ってる。



“多分、大昔から”







†佰伍拾捌†→←†佰伍拾陸† “新たなる約束”



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (129 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
368人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

冷泉 雪桜(プロフ) - tomo10260403さん» コメントどうもありがとうございます!薄桜鬼も読んでくださって……感謝でしかないですね!これからもよろしくお願いいたします (2019年9月17日 12時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
tomo10260403(プロフ) - 冷泉 雪桜さまの作る作品の虜になりました!薄桜鬼も刀剣乱舞も一気に読んでしまって、小説を読むのが苦手なほうなのですが、のめり込むようにするすると入ってくる文章に、夢中です! (2019年9月16日 17時) (レス) id: f4aa91fff9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2019年9月6日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。