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†佰弐拾壱† “蛇の記憶” ページ2

Aside






『…………(まだ、起きてない)』







私は手入れ部屋を訪れていた。
ここ二番目の手入れ部屋。

私が寝ている間に皆が掃除してくれたのだと言う。
そこにいるのは未だに眠り続ける膝丸様がいる。
頬にあった卑劣は無くなり、顔はすっかり良くなって
今にも起きてくれそうだと言うのに、
その気配は全くない。








『まだ、辛いのか…………?
まさかこのまま消えたりはしないよね?』


膝丸「…………」









私の呟きに答える者はいない。
ただ、穏やかな寝息しか聞こえない。
私は彼の側に座って、手元にあるお盆を置く。

生憎私はもの作りは得意なんだが、
料理はからっきし駄目で、笹餅…………粽しか作れない。
おみあげ…………まあ目覚めないのなら
作っても仕方ないよな。








『…………(目覚める気配は、ない)
膝丸様、失礼しますね』








私はいつものように彼の手を握って
霊力を流して治療をする。

…………と言っても手を繋ぐだけで
私の霊力は勝手に流れ出る仕組みになってる。
意識する必要はない。
改めてよく分からない自分の体に頭を捻るばかり。







『……………………』

??「あーるじっ!」

『わっ!』

??「っておおおおいっ!殴らないでくれ!」

『あ、ごめんなさい。獅子王様おはようございます』

獅子「主って結構手足出すの早いよな…………」









後ろからいきなり声かけられて、
思わず振りかぶって殴ろうとしてしまって、
寸止めでピタリと拳を止めた。

そこにいたのは鵺を連れた獅子王様で、
鵺は私に怯えきって獅子王様の後ろにさりげなく
隠れられてしまった。
あれから数日経って、獅子王様は明るく私に
声をかけてくれるようになった。

獅子王様は明るい刀で、私をあの場で信じてくれた。
何故私を信じてくれたのかと言えば
彼自身“人を憎むのは性に合わない”との事。
彼は素直な刀なのだろう。









獅子「?元気ないな?」


『…………膝丸様、まだ目覚めないのです。
あれから数日経ちましたが、心配で…………』


獅子「膝丸?……………嗚呼」








獅子王様は一瞬小首を傾げるが、
以外とけろっとして笑っていた。

彼の態度の意味が分からなくて、
今度は私が小首を傾げる。
獅子王様は“違う違う”と言って鵺の首を撫でた。

†佰弐拾弐†→←‡とある神様の“愛”‡



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冷泉 雪桜(プロフ) - tomo10260403さん» コメントどうもありがとうございます!薄桜鬼も読んでくださって……感謝でしかないですね!これからもよろしくお願いいたします (2019年9月17日 12時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
tomo10260403(プロフ) - 冷泉 雪桜さまの作る作品の虜になりました!薄桜鬼も刀剣乱舞も一気に読んでしまって、小説を読むのが苦手なほうなのですが、のめり込むようにするすると入ってくる文章に、夢中です! (2019年9月16日 17時) (レス) id: f4aa91fff9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2019年9月6日 1時

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