【刀剣乱舞】その神、縁結びを望む者

†漆佰弐拾参† ”帰れない蝶“ ページ24

12歳Aside







『！！』

豊前「どうした？主」

『………痛い』

加州「えっ！？主、どこが痛いの！？」

『胸が、痛い。心が………痛い』

薬研「た、大将………どうして、泣いて？」









休日になって、稲荷様の探し物をしていた時、
急に胸が痛くなった。

心が痛がっている。凄く凄く、悲しい。
切なくて、涙が勝手に出て来た。


誰かが、悲しんでいる？









『悲しい、の。痛い………凄く凄く痛い。
誰かが泣いている……誰かが、呼ぶ声がする』


太鼓「誰か、が？」


『あっちから、声がする。
ずっと謝り続ける声が………頭の、中に』


燭台「………皆、行ってみよう」

加州「え、でもさ………」


燭台「稲荷君は普通の人には分からない物を
探しているんだよね？

稲荷君の探し物かも知れない。
誰かの記憶を見たりすると共鳴してしまう程、
主の力は強い事くらい皆知っているだろう？
行ってみよう。

それに僕らの主は行く気満々みたいだしね」



『………うん』









私が頷いたら、皆顔を見合って
諦めたみたいに笑った。

私にしか聞こえない、悲しい声。
私が行かなきゃ、
声の人は誰にも気づいてもらえない。


稲荷様が探していた物かは分からないけど、
行ってみなきゃ分からない。



───────────────









時間《ギ、ギギギィ！！》







薬研「っずえぇりゃあ！！」







ザシュッ！！








薬研「ﾁｯ………最終日が近いからか知らねぇが、
敵がわんさか出て来やがる」


豊前「主は下がっていろよ！」

『ｯ………う、うん』


加州「ったく、遠慮がないなぁ！
もうちょっと数少なくて
いいと思うんだけ、ど！！」









近くの丘まで来たけど、
妖怪が多くて声がする所まで近づけない。

後少しなのに……！


皆私を守ってくれている。
お化けは沢山いるのに全部やっつけていく皆凄い。
やっぱり神様なんだなと思った。
でも皆強いけど、私がいるから戦いにくそう。

私だって自分の身は自分で守れる。
放っておいていいのに。









『し、燭台切さ………！』

燭台「良かった」

『え………？』


燭台「また“自分の事はいい”とか、
“自分で守れる”とか言うかと思った」


『！！』


燭台「大丈夫。言っただろう？必ず守るって。
守らせてくれ、君の未来を」









戦う姿は、とても綺麗に見えた。
皆戦ってるのに、笑ってる。

怖いくらい、綺麗に見えたんだ。

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