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『当時はとても荒れてたなぁ。
とにかく誰も信じられなかったし、
世界全てが敵に見えるわ、世界なんぞクソ喰らえ!って
自暴自棄になって、そりゃもう凄かったぜ?』


シャルル《そんなに荒んでたの?》


『はは、想像もできねぇだろー?
立つことも出来ず、まともに話すことも出来ないくらい、
俺の精神はヤバかったんだが、
天空魔法とグランディーネの人柄が、俺を救った。
………ん?人じゃねぇから、竜柄??』


シャルル《………ふーん》









シャルルは興味なさげに紅茶を飲み、
口を尖らせていたが、チラチラと俺を見る仕草が垣間見え、
気難しい性格の持ち主らしい。根は良い子なのだろう。









ウェンディ「他には?例えば、イグニールさん、とか」


『イグニールからは体術を少しだけ学んだ事がある。
メタリカーナはたまたま会って、少し話した程度。
あいつあんまり喋んないしな。
あ、これはナツには言うなよ?
無理もないが、イグニールの事になると、
あいつ周りが見えなくなって暴走しちまうから』


ウェンディ「は、はい。でも、ナツさんも
昔話を聞きたいんじゃないですか?
きっと寂しがってますよ?」


『いや………あいつは多分、
イグニールの口から直接聞きたいんだろうよ。
そういう目標があったほうが、あいつは前を向くんだ』


ウェンディ「ナツらしいですね。
それにしても、どうして私やナツさん、ガジルさんを
育ててくれた(ドラゴン)達は同じ日に
姿を消してしまったんでしょうか………」


『…………何でかな。俺は路頭に迷って、
あちこちフラフラと歩いて宛もなく旅して、
偶然、グランディーネ達と会ったからな。

………俺にも、わからないよ』










─────────────────────








帰路を歩く。
もう周りは夕暮れで、切ない夕日がマグノリアを
赤く染め上げていた。








『今日は楽しかったよ。久々に、(ドラゴン)の話が出来た。
周りの人間は「(ドラゴン)は伝説上の生き物だ」
「だから居るわけがない」と言うばかりだしなぁ』


ウェンディ「私も、楽しかったです」

『そうか?つらい思いしたんじゃないのかい?』


ウェンディ「確かに、そうですけど………
でも、昔のグランディーネの話とか聞けて楽しかった。
ありがとうございます、Aさん」


『なら良かった』











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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2024年3月4日 0時

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