187Page ページ8
ウェンディは俺の言葉に
歩いていた足を止めた。
俺を見て、不安そうな顔をしている。
ｳｪﾝﾃﾞｨ「…………Aさん、は……
グランディーネを、知ってるんですか………？」
ｼｬﾙﾙ《ウェンディ………》
その顔は、親からはぐれて一人孤独を感じ、
親を求める子供そのもの。
シャルルが心配そうにウェンディを見つめる。
──俺は、何もしてやれない。
『………嗚呼。知っているよ』
ｳｪﾝﾃﾞｨ「！！！」
『でも居場所は分からない。
俺が知ってるのは、天竜グランディーネ、
鉄竜メタリカーナ、そして火竜イグニールと
面識があるってだけだ。
君が求めている情報は持っていない』
ｳｪﾝﾃﾞｨ「………そ、う、ですか」
一度、顔を上げたウェンディだが、
俺の言葉で再びその瞳に影を落とした。
俺は、正直心苦しい。
罪悪感を感じつつも、俺はウェンディの言葉には
答えてやる事は出来ない。
ｳｪﾝﾃﾞｨ「でも、グランディーネに
会ったことがあるんですよね………？
お話を聞きたいです。グランディーネの事とか、
他の竜の事も知りたい………」
『グランディーネの昔話？
あー、まあグランディーネと過ごしていた
ウェンディとほぼ同じ内容になると思うぞ？』
ｳｪﾝﾃﾞｨ「それでも聞きたいです。
だって、私の………お母さんだから」
『………そっか。分かったよ………』
─────────────────────
カフェに入って、ウェンディとシャルルに
パフェをおごりながら、俺はグランディーネについて話す。
グランディーネには、ディオーレを失った
当時の俺を助けてくれた恩がある。
人が好きだったグランディーネは
よく俺を気にかけてくれた。
俺はまだ餓鬼だったから、その優しさを素直に
受け止める事が出来なかったが、
まともに人と話せるようになったのは、
グランディーネのおかげかもしれない。
『懐かしいな………』
ｳｪﾝﾃﾞｨ「グランディーネとそんな関係が………」
『まあ、グランディーネがウェンディを拾う前の話だから、
君が俺を知らないのも無理はないさ』
ｳｪﾝﾃﾞｨ「………私、Aさんに抱きしめられた時、
少し懐かしい匂いだなって思ったんです。
グランディーネと似た、懐かしい匂い。
そうですか………Aさんとグランディーネは
友達だったんですね」
『友達、ねぇ………？まあそんな所だな』
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2024年3月4日 0時
