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『俺がポーリュシカと作った塗り薬だ。使え』


ギルダ「お?助かるぜ。お前の軟膏の方が
医者よりもよっぽど効くからな」


『それじゃあ、詳細を聞こうじゃないか。
クエスト内容聞いただろ。
俺が断った100年クエストで何があった?』








俺の言葉に、ギルダーツは一度チラリと横目で見て、
直ぐにその視線は自身の身体に向け、
己の傷口に俺の薬を塗っていく。









ギルダ「………流石は100年クエストってか。
五神竜の封印って聞いたときは流石に頭痛を覚えたぜ。
(ドラゴン)ってのは見たことが無かったが、
依頼主自身が(ドラゴン)と来た。全く驚きの連続よ」


『だろうな』


ギルダ「お前がこのクエスト断った理由は、
今なら聞いてもいいのか?」


(ドラゴン)は殺せない。それだけだ』

ギルダ「あん?滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)なら出来るんじゃねぇのかよ」


『出来るさ。………ただ、俺の気持ちの問題だ。
竜が好きだから。竜を愛しているから。
だからどうしても、出来なかっただけさ』


ギルダ「………嘘つけ。
ま、今はそういう事にしといてやる。
その気になったら話せよ」


『…………半分は本当なんだが?』


ギルダ「マジかよ、お前半分は駄々ごねて
イヤイヤ言って断ったのかよ」








薬を塗り終わり、包帯を蒔き直しつつ、
俺のクエストを断った理由の半分の事実に、
ギョッとしていたギルダーツ。

それから薬の蓋を締め、再度ため息を吐いた。








ギルダ「でも、そうは言ってられん相手だったぜ」

『何?』

ギルダ「霊峰ゾニア。そこで“黒い(ドラゴン)”に会った」

『!!!』





ギルダ「まあ俺も(ドラゴン)を見たのは初めてだったからな。
ナツが探している“赤い竜”に何か関係しているかも
知れねぇし、一応ナツにも伝えてやろうかと思う。

あいつやお前にしか分からないこともあるかも知れ──
…………?おい、どうした?」










ギルダーツの言葉に、俺は硬直する。
………黒竜、だって?この世にいる黒竜なんざ、一頭しか居ない。
俺は自身を落ち着かせるために、胸に手を置き、
ギュッと拳を作る。












『は………君、その黒竜をクエスト対象だと思ったのか?
そりゃ勘違いだ………

その黒竜は………“アクノロギア”は………っ、


ディオーレの仇だ──!!!!』









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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2024年3月4日 0時

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