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結果として、アニマは本来の役目を
果たすことは叶わなかった。
奴らはアニマをアースランドから魔力を抽出するという
手段を取り、俺はこの世界から魔力を消そうとした
大罪人として国を追われた。
捕まれば魔力とされて消されちまう。
本当に、魔法が手に入ることさえ出来れば容赦ねぇんだよ。
俺の願いは、見返りもない細やかなものだった筈なのに。
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俺は全部話した。
アニマを作ったのは俺で、俺に架せられたデタラメな罪。
それから、アースランドの俺の仲間………
向こうの
アニメのせいだって事も。
『………』
《俺を憎むのはご尤もだ。俺がアニマを作ったせいで、
あんた達は巻き込まれたんだし………
でも、今はすべき事をしないと。
咎めは後で好きなだけ受ける。
まずは、あんたらを助けるのが最優先だろう。
………俺はあんた達を助けたい》
『………やれやれ。そういう所も似てるな』
するとアースランドの俺は苦笑を浮かべながらそんな事を言った。
?似てる?アースランドの俺と???
小首を傾げていると、彼女はふるりと首を振った。
『ディオーレにだよ』
《?ディオーレ………?》
『そう。俺に魔法を教えた竜だ。
その容姿といい、性格といい…………
君と話してると嫌でも彼の面影を見る。
………拍子抜けして、調子が狂うよ』
彼女はそう言いつつ、俺の頭を撫でてきた。
『罪なんて無い。君のその体は罪じゃないよ』
《………そうなのかな。現に争いの元だろ》
『そんな事無いさ。こっちの世界では、
始祖の魔法を“一なる魔法”と呼んでいるが、
その正体を知っているか?』
《?》
『”愛“さ。一なる魔法は愛から産まれたと言う人間がいる。
魔法は悪いものじゃない。
ただこの世界にとっては刺激が強かっただけだよ』
何だろ…………なんか、アースランドの俺は、
とても寂しそうに感じた。
理由は本当に分かんねぇが、
俺の頭を撫でる手は慈愛に満ちてて、
言葉の節々から、彼女の人柄が垣間見える。
………こいつはこれまで、どんな人生送ってきたんだろう。
恐らく戦って失ったであろう右腕。
彼女の言葉の意味。温かい声。
知りたいと、思ったんだ。
エドラスAside〜end〜
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2024年3月4日 0時