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《相手は、国一つ。そしてこの世界の中心だ。
軍力も馬鹿みたいにある。
この世界じゃ、アースランドとは違って、
魔法でどうにかなったり出来るもんじゃねぇ。

ましてや、今のあんたは魔法が使えないんだぞ。
それでも行くのか。たった一人で》



『行く。仲間が、待ってる。
俺に居場所を与え、俺に生きる為の力を与えた仲間。
俺を家族だと迎え入れてくれた彼らの為なら、
魔法だって捨てる覚悟だ。
それで仲間を救えるならなんだっていい』


《………無謀だ。一人なんて》








エドラスの俺はそう言って、視線を逸らす。









《………俺にも、仲間がいるんだ。
居場所を失った俺を、受け入れた仲間が。
俺は仲間の為に、仲間の下を離れた………
巻き添えにしない為にも》


『!』

《ふ………同じだな、俺達》









そう言って、再び俺の方へと向いた彼は、
どこか吹っ切れたような様子で笑った。









『………ハッ。俺を試したな?』


《げ、バレてやがんの。折角人気のないとこ探して、
隙あらばあんたから情報を聞き出すつもりだったのに。
森で迷い込ませて、襲おうかと思ったが》


『おや驚いた………嘘を付く素振りも、
脈の鼓動の音も微動だにしなかったのに、
俺を騙せるとは、大したやつだよ』


《え、鼓動の音??マジで?怖………
あんたを敵に回す方が厄介そうだ》









俺の発言に顔を青くしてたが、
直ぐに切り替えて、彼はニヤリと口角を上げる。







《半分は本当の話だ。俺ぁ嘘が下手でよ。
嘘の話はしないようにして相手を騙すんだ。

それはさて置き………疑って悪かったよ。
この世界はこうでもしなきゃ生きていくことが難しいんだ。
詫びと言ってはなんだ、俺は決めたぜ。
あんたに協力しようじゃねぇか》


『!な、っ』








すると彼は徐ろにマントを翻し、首をさらす。
そこには、知ってるマークがあった。

妖精をモチーフとしたマーク。







《俺は、魔導士ギルド、妖精の尻尾(フェアリーテイル)マスター。
A・ディオーレ──

あんたを気に入った。俺も仲間を守りたい。
その為にも、俺はあんたと組む》











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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2024年3月4日 0時

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