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《…………俺は、魔力が有限のこの世界。
エドラスで生まれながら、魔力を持って産まれたのさ。
突然変異ってやつだろうよ》
バサリと、大きな翼で羽音を立てながら、
ゆっくりと飛行する。
そんな中で、エド俺はどこか他人事のように呟く。
《その事が国にバレ、俺が持つ魔力を巡って争いが起きた。
俺自身が、争いの源なんだ。
だから、国から身を隠してるって訳だ。
その後はクーデターを起こしたもんだから、
懸賞金はもう馬鹿上げ。
他にも色々と理由があるが………言えねぇ》
『………そうか』
翼を展開したことによって魔力を
開放したからようやく気付いた。
彼の魔力、凄まじい程の質量だ。
そりゃ魔力が有限のこの世界にとっては奇跡も同然。
懸賞金をかけられ、逃亡生活になるのも無理はない。
俺でも探知出来なかった、魔力の隠し方。
相当苦労して自身の力を抑えていたようだ。
ディオーレと俺のような存在であるエドラスの俺。
その彼が、突然変異で魔力を持って生まれた。
なにか、関係しているかもしれない………
セフィロト──この世界の世界樹。
やはりどこかにあるのか、このエドラスに。
『(いや、どさくさに紛れて、
世界樹の下に行けたら良かったが………諦めた方が早そうだ)』
《陸地だ。降りるぜ》
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《っと、おっかしぃな………この辺のはずなんだが………》
別の浮遊島に着地し、そこからまた更に歩き出す。
エド俺は何か探してるようで、
草木を掻き分けながら歩いている。
『何探してる?』
《秘密だ。途中にルーエンって街がある。
あそこは闇市とか色んな情報が集まってくる。
仲間も見つけやすいはずだ。
俺はそこまでしか送ってやれねぇからな》
『助かる。何から何まで世話になっちまって。ありがとうよ』
《所で、王にアニマで、町ごとお前の世界の仲間を
吸収しちまったって話だが──》
『嗚呼。仲間を助けに行かないといけない』
《!》
『仲間がこの世界の魔力源にされちまう。
それだけはどうにか防ぎたい。
いざって時は王都には一人で行くつもりだったしな』
《…………一人でか》
すると、エドラスの俺は足を止めた。
振り返り、フードを外しつつ、俺の顔をジッと見つめる。
そこには強い意志を感じた。
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2024年3月4日 0時