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『あれのどこが犬だよ………』
草むらから近づいてきた生物の様子を見るが、
竜に似た生き物。どう見たって犬じゃない。
軍用の魔物だろうから“犬”と言ったんだろうが、聞いてないぞ。
《うるせー。とにかく見つかりゃ厄介だ。
こっちに来い。って、そっか足怪我してるんだったか。
おぶさってやろうか？》
『問題ない。言ったろう、俺は体は頑丈なんだよ』
《そう、か？にしても変だな………
レギオンの鼻で追いかけてきた筈………
匂いで位置バレると思ったんだが………》
その言葉でギクリと俺は肩を震わせた。
………悪かったな、竜臭くてっ。
何だその顔。獣臭い言うな、くそレギオン。
見ていたレギオンはなんとも言えない顔をしていて、
それが俺に向かって“獣臭い”と言ってるように思え、
ピクリと眉を上げる。
いや、獣に対して腹立てるのは大人げない。我慢だ俺………
《ﾁｯ………とにかく移動だ。早急にここを離れる》
『分かった。今頼れるの君くらいだしな………
君に従おうじゃないか──って！？』
《よし、じゃあ行くぞ》
『何言ってんだっ！何で俺を抱えるんだよ！！』
《思ってたより、重、………》
『ブチのめすぞ』
《思ったよりもって言ったろ。軽い事には一応変わりねぇ。
とにかく移動だ。行くぞっ！》
その時、急にエド俺は俺を抱えると、素早く跳躍した。
するとバサリッ！と羽音と共に、彼の背から天使の羽のような
身の丈程ある巨大な翼が広げられる。
そう、彼は飛んだのだ。俺を抱えて。
『(飛んだ、？エドラス特有の、
道具を使った魔法………じゃない。
直接こいつの背から生えてるっ)
魔法！？君、道具なしに魔法を使えるのかっ。
この世界の人間は魔法が使えないんじゃ無かったのか！？』
《正真正銘、俺の魔力で飛んでるよ。
あんたとはまだ少ししか過ごして無かったから、
あまり魔法使ってるとこ、見せたくはなかったがな。
話はあとだ。別の浮遊島に着地するぜ》
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2024年3月4日 0時
