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《あんまし詳しく話すと、あんたの身にも良くない事が
起きるかも知れないから割愛するが、
とにかく立場上、俺はこの世界の中心たる国王軍から
逃げてる身だから危険が伴う。
だから、安全な場所なんて無いし、
ちゃんとした応急処置が出来なかった。悪いな》
『いや。むしろそんな立場で俺を助けてくれた事に
感謝しか無い。この世界に来たばかりで
なにも分からない状態だったしな。助かったよ』
《あ。あと………その…………緊急だったといえ、
女のあんたの体に触っちまった。わ、悪い。
触れるまで女だとは気づかなくて………》
『別に気にしてないさ』
《そ、そうか?ならいいけど………
なあ!良ければアースランドについて教えてくれよ。
俺、昔から興味あったんだ。
エドラスの歴史とかには詳しい方だが、
アースランドについては本でしか知らない事が多い。
無限にある魔力がある世界ってどんな感じだ?
やっぱ魔力があると便利か!?》
少し興奮気味に話すエドラスの俺。
見れば見るほど、好奇心旺盛だった
ディオーレにそっくりだった。
俺はアースランドがどんな場所かをざっくりと話してやった。
熱心に聞くエドラスの俺は、見ていて飽きない。
子供か。昔の自分みたいでややくすぐったい気持ちになる。
《アースランドは面白えな!
で?あんたは何の魔法を使うんだ!?》
『秘密だ』
《ちぇ、何だよケチくせぇ》
『君だってさっき俺に対して、
自分の事の一部を秘密にしてたじゃないか』
《………それもそうだな》
その時、ハッとしてエド俺は顔を上げた。
俺も同じく顔を上げる。
…………なにか来る。
同じように思ったのだろう。エド俺はシッと
口に人差し指を立て、静かにするように促す。
《もう嗅ぎつけてきやがった………》
『生体反応………この世界の生物?』
《レギオンだ。軍が飼ってる犬だよ。
ここは駄目だな………移動しねぇと》
エド俺はそう言って焚き木の火を消し、
マントのフードを被ると、俺にもマントを手渡してきた。
………多分、同じ顔だから顔を隠せ、と言いたいのだろう。
素直に従い、俺は彼について行くことにした。
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2024年3月4日 0時