fall in love ページ28
✩
「……なぁ、A」
帰り道。
歩を進めていると、衣更くんは突然口を開いた。
今日も『私を家に送っていく当番』をしてくれている彼は、先程の話を聞いたあと、なおもぐずりの止まない私を気に掛けて静かに横を歩いてくれていた。
『なに?』
「…まだ、動揺してるのか?」
壊れものを扱うみたいに、おずおずと距離を詰めてくる。
その挙動を見ていると、そっちの方が動揺しているように見えるけど。
「一気にいろいろ言われても訳わかんないよな。まだ転校してきて2日目だし」
言われてみてハッとするけれど、明星くん達に教室で出会ったこと、明星くんが衣更くんを無理矢理引っ張り出して連れてきたこと、下駄箱で斎宮先輩を見つけたこと、「校内アルバイト」で影片くんや紫之くんとお花の世話をしたこと、「Valkyrie」の歌を聴いたこと。
どれも昨日今日のことなのに、つい、かなり前の出来事だと錯覚してしまいそうになる。
「…でも、俺は」
私が思い返していると、彼は1度目を伏せ、含羞むようにして笑った。
「変な期待をするわけじゃないけど、お前みたいな奴が協力してくれるなら、きっと大革命も成せると思うんだ」
その笑顔に少しばかりどきっとして顔を逸らしてしまう。
彼は誰に対してもこうなのだろうか。
明星くんなどのようなお友だち、私じゃない他の女の子にも…
────そこまで考えたところで、急に胸がチクリとした。
「…まぁ、北斗も『今すぐにとは言わない、一旦家に帰ってでも落ち着いて考えておいてくれ』って言ってたし、そんなに焦らなくても大丈夫だからな〜♩」
そう明るく言って私の顔を見た衣更くんが、すごく驚いた顔をした気がした。
まだ春だというのに、頬に茹だるような暑さを感じる。
男の子と接するのに慣れていないため、よく顔が赤くなってしまったけれど、今のこれはきっと、それらとは全く違う。
まだ出会ってから2日しか経っていないのに、性急過ぎる気もするけど…
ねぇ、衣更くん。
私はきっとあなたのことが────
fall in love -another story-→←terribly beautiful
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粟羽(プロフ) - 風羽さん» ありがとうございます!!そう言っていただけるととても励みになります〜〜!期待を裏切らないよう頑張りますね!(*'∀'人)*° (2017年12月10日 13時) (レス) id: 120ab8b8b9 (このIDを非表示/違反報告)
風羽(プロフ) - はじめまして。この小説とても面白くて気に入りました。更新大変だと思いますが頑張ってください!応援してます! (2017年12月7日 23時) (レス) id: 088a42be71 (このIDを非表示/違反報告)
粟羽(プロフ) - catさん» わ〜〜!!ありがとうございます!あんスタの小説は初めてだったのでどんな反応が来るか不安だったんですけどそんな嬉しいお言葉を頂けて感激です!ありがとうございます〜〜!!! (2017年11月24日 7時) (レス) id: 120ab8b8b9 (このIDを非表示/違反報告)
cat(プロフ) - 初めまして!すごく面白いです!早く続きが読みたいです!更新、頑張って下さい!応援してます! (2017年11月24日 1時) (レス) id: 020df30820 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:粟羽 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年11月23日 17時