25.がんばる理由 ページ30
汽車から蝶屋敷へ運ばれて数日後。
『失礼します、鈴蘭Aです』
「どうぞ、入ってください」
私はしのぶさんの部屋へ来た。
私の骨はというと思った通り折れていて、あとは体が打ち付けられた時にできた挫傷があるくらいだった。
「そうですか！
目が見えるようになったんですね」
『はい、鬼の血鬼術で昔の夢を見て…
そこで、過去への恐れを払拭することができました
鬼の血鬼術のおかげなのが気に食いませんが』
「それは鬼の術を破ることができたあなたの力のおかげ、ですよ」
しのぶさんはそう言って、私の前に座った。
『目が見えたおかげで…煉獄さんの最後も、見ることが出来ました』
「そうですか…」
しのぶさんの表情は少し曇った。
怒っているような匂い。
よく彼女からこの匂いを感じる
『私、もっともっと強くなります
見ていて下さい、しのぶさん』
私の言葉に、しのぶさんは少し驚いたような顔をしてから笑った。
「どうして私にそんなことを？」
『私は…初めは、弟を鬼にした鬼舞辻が憎かった
今もそれはもちろん消えていません
でも、鬼殺隊に入ってから戦う理由がたくさん増えました
しのぶさんも、その中のひとつなんです』
「…一緒に戦う、と言ってくれましたものね」
『そうです！
この髪飾り、ほんとに嬉しかったです！
だからしのぶさんの為にも、みんなを守る為にも、私はがんばるんです!!』
むん！と意気込むと、小さなしのぶさんの手が私の頭を撫でた。
「Aさんは…本当に、優しい子ですね」
怒った匂いは消えて、優しい音が聞こえる。
『私…本当に目が見えるようになってよかった
こんなにしのぶさんが綺麗に笑う人だって分かりましたもん』
「あら、お世辞を言っても何も出ませんよ？」
『お世辞じゃないです！
しのぶさんさんは可愛いし綺麗です！』
「Aさんも可愛くて綺麗な女の子ですよ」
しのぶさんはそう言って、いたずらっ子のような顔をして笑った。
「しのぶ様〜!!」
「どうしましたか？」
外からドタドタと走る音。
きよちゃんが走ってやってきた。
「炭治郎さんが居なくなってしまいました!!」
「炭治郎君が？
鍛錬をすることも禁止してたはずなのに、おかしいですねぇ」
しのぶさんが明らかに怒ってる。
「どいつもこいつもですよ、ふふ」
笑いながら拳を振るしのぶさん。
怖い。
『私！部屋を見てきますね！』
私は足早に、その場を離れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 559人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
善逸推し - 面白かったです！この後の展開が気になります！ (2020年8月16日 10時) (
レス) id: 5160686bc8 (このIDを非表示/違反報告)
我妻咲耶 - もうほんっとサイコーです！！！！ (2019年8月11日 4時) (レス) id: 3bb721340a (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 月影さん» コメントありがとうございます！本誌でのあの台詞を使うのはちょっと…と思い、あのような台詞になりました！とても嬉しいことばかり言って下さり、すごく嬉しいです！( *´ ∀ `)あまり早い更新ではありませんが、頑張ります！ (2019年7月22日 23時) (レス) id: 0fe682c3ee (このIDを非表示/違反報告)
月影(プロフ) - 1番最初のお話から読まさせて頂いてます！今回の話で、夢主ちゃんの前に立つ善逸...イケメンすぎて危うく私倒れるところでした笑話の内容もとっても面白くて、何回も読み返してしまいます！これからの展開がとっても楽しみです！更新大変かもですが、頑張ってください！ (2019年7月22日 6時) (レス) id: 140bc76271 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - ひにゃたこさん» コメントありがとうございます！がんばります(*´▽｀*) (2019年7月17日 23時) (レス) id: 0fe682c3ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えり | 作成日時：2019年7月16日 23時
