【ハイキュー】ばれんたいん【短編集】 (ページ3)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:2,875 hit

日向翔陽:素直じゃない3 ページ3

｢…俺のこと嫌いなの？｣

…嫌いじゃない。

寧ろ、だ。

だけど、言えなかった。素直に言えなかった。

｢…嫌いじゃないよ！｣

笑顔を作ると、

｢笑えてないよ。｣

｢日向、そこまでにしとけって。練習すんぞ！｣

菅原さんが私に気を遣う

菅原さんは分かってくれているのだろうか。

ぽんっ

私の肩に手を置く菅原さん。

｢後で日向にあげとけよ？｣

わかってくれていた。

菅原さんの顔を見ると

笑顔だ。

なんか菅原さんに惚れそうだったり。

｢…むーっ｣

｢日向ボゲ！うるせぇボゲ！｣

｢なんだよ！！お前Aにちょこもらってたじゃん！？なのに俺のだけないんだよ！！なんでなんだよ！？｣

｢知らねぇよ！ボゲ！！｣

あぁ、私のせいだ。喧嘩しないで欲しい。

部活は終わって、帰り。

｢…｣

みんなも、私もモップがけをしている。

あげるタイミングがない。

｢日向！｣

｢は、はい｣

菅原さんが日向を呼んでいた。

来い来い、と言うように手を動かす菅原さん。

私はそれを遠目で見ていた。

そして、二人が少し話した後、私の方に日向が向かって来た。

やばい。モップがけ止まってた。

走る、と。

｢あ！A、待て！！｣

追いかけてきた日向。

待てない待てない！！！

｢待てよ！！｣

ぱしっ

手を掴まれた。

｢ちょ、モップがけしてるんだけど！｣

さっきモップがけ止まってたのにそれを口実に使う。

｢…そんなの関係ない。

A、俺のチョコあるんでしょ？菅原さんに聞いたよ？｣

威圧感。

日向が本気だ。

ぞわっとした。

鳥肌が立つ。

｢なんで嘘ついたの？｣

言えない。

好きだから、あんな場所で言えなかったから。

意識してた。なんて。

｢…言えないの？｣

…言えない。

｢じゃあ、俺の耳に近づけて言ってよ。俺だけが聞こえるように。それならいいでしょ？｣

そういう問題じゃないけど、

でも、

言えない。

｢…なんか言えよ！｣

みんなが日向の方を、驚いて直視する。

｢っ｣

メンタル的に耐えられない。

けど、言えない！

｢あっ｣

日向が気づく。

Aは泣いた。

｢ごめんっ｣

｢…A｣

日向が申し訳なさそうな声色で言った。

｢もう、聞かないから。チョコ、くれなくてもいいよ。｣

ｽﾞｷｯ

いらない、んだね。

私が悪い。