【HQ!!】ただ思う。【西谷夕】 (ページ6)

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6 できること、できないこと。ページ6

私にできるのって、結局何？

「蛍、」

「何？」

「私にできることって、何なんだろ」

「……勉強、とか？」

「それじゃ意味ない、かも。バレーと関係ないし？」

「は？賢いじゃん、A。絶対王者ウシワカについて誰よりもよく知ってて、無駄に細かい試合分析できて」

「……そっか。……ありがとね、蛍！何かわかったかも！」

「深刻そうな顔したと思ったら途端にスッキリした顔して。今日馬鹿の日なの？」

「何をーっ。馬鹿じゃないですー、少なくとも蛍に負けたこと、一度もないしー」

「そーいうとこが馬鹿なの。小学生かよ」

「はー？……まあ、ほんと、ありがと」

ちょっとだけ、すっきりした。私にできるのは、情報戦術と、そこからなる分析。コートに入れない私には意味無い能力かもだけど。そして、過信しすぎてはダメだけど。やってみる、価値はある。

「……でも、ほんと。たかが部活に、何でみんなそこまで悩んで、本気になるのさ」

蛍がポツリとそれを呟いたのは、聞こえたけど。私の中にある言葉は、どれもしっくり来なかったから、聞こえなかったふりをした。

「んー？何か言った？」

「何も」

そーやって返ってくるのが、わかってたから、逃げた。これもある意味情報戦術かもだけど、勉強の知識が役に立たない場面があると痛感するのは、こーいうとこだと思う。嗚呼、やっぱり私は。綺麗なんかじゃないね。