moment〜0 ページ46
龍驤の件からはや4年が経っていた。
キキョウは4つになり、ますます元気だ。
この年頃は感受性が発達する時期。
父母二人で育てたいのは山々だが、なかなか父親と会わせることが出来ない。
2歳のとき会ったきり。
デスクワークのときはキキョウを友人の娘と偽り、執務室で本を読んだり、人形で遊んだりして面倒を見ていた。
いつもいつも、一緒にいれるわけでもないから、何かしら満足させてやりたいと思った。
退屈かと聞くと、返ってくる返事は『ううん。』
それに少し便乗して、
父親を覚えているか聞けば、『うん。』
会いたいか聞けば、『会いたい』
遊ぶのと、父親と会うこと、どちらがいいか聞けば、『パパと遊びたい』と。
無垢な、何色にも染まっていない寂しそうな瞳。
カヲルくんとそっくりの、紅い瞳。
私が幼い頃、母さんの帰りを待っている時に見つめた、鏡の中の自分を見ているようだった。
「キィ、ごめんなさいね。
今度パパと遊ばせてあげるから」
力一杯キキョウを抱きしめる。
苦しいかもしれないけど、強く、強く。
「ママ、いたいよ」
流石にキツすぎた。
「ねーねーママ、絵本読んでよ」
「いいわよ？」
仕事途中だけど少しはティーブレイクも。という訳で暫く絵本を読み聞かせる。
ついつい夢中になって読み終えた頃には、キキョウは膝の上で眠ってしまっていた。
時計を見れば午後2時。
昼寝にぴったり。
そっとキキョウを寝かせると、デスクに戻る。
チェックせねばならない書類が山程。
そして来週決行の作戦の大元を練り上げなければいけない。
思わず溜息がこぼれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 187人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
下弦 - いえいえ、コメント見てくださりありがとうございます。これからも応援しています！！ (2015年11月18日 16時) (
レス) id: e33d5cb0ec (このIDを非表示/違反報告)
紅坂紅子(プロフ) - 下弦さん» コメント有難うございます。こちらのミスでした。修正しましたのでよろしくお願いします。 (2015年11月17日 22時) (レス) id: 9397b1a88e (このIDを非表示/違反報告)
下弦 - すみません、初コメです。私の方がバグっていたら申し訳ないんですけど、28ち29が同じ話になってるんです。少し不安になって。長文失礼しました。これからも頑張ってください。 (2015年11月17日 21時) (レス) id: e33d5cb0ec (このIDを非表示/違反報告)
暗部の桜(プロフ) - とても面白いです。続き待ってます (2015年8月31日 21時) (レス) id: 3141487925 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - もうこの作品大好きです!!ニコニコしながら読ませていただいてます！ (2014年9月14日 10時) (レス) id: 0c3a8a5087 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紅坂紅子 | 作成日時：2013年6月12日 21時
