四十六話 ページ48
貴女『んぅ…』
どれくらい気を失っていたのだろうか。
Aは重い体を起こしてみると、そこは先程のよ
うな薄暗い牢ではなく、上位貴族が住むような煌びや
かとした部屋。障子も立派で金箔が散りばめられてい
る。
貴女『なに、ここ…』
自分は綺麗に整えられた布団に寝かされ、先程蘭童に
斬撃をいれられてできた傷もすっかり塞がっていた。
女性なら誰しも喜ぶであろう上質な室内に見惚れてし
まい、我に帰ったAは首を横に振る。
__逃げなきゃ
Aは布団から立ち上がり部屋の出口へ向かおう
とするが、
貴女『っ!いった…』
歩こうとした瞬間身体中に電気が走るような感覚を覚
えた。きっとあの後赤兎と灯馬に好き勝手されたのだ
ろう。おそらく血も多く吸われたらしく、手足の指先
は氷のように冷たく震えている。
体にもなかなか力が入らない。
血を吸われたと思われる箇所は青黒い痣になってしま
っている。
Aは壁を伝いながらおぼつかない足取りで出口
の方へ歩き出す。
やっとのことで、Aは襖の前までたどり着き
手をかけようとしたその時であった_
______スッ
襖が何者かによって開けられた。
「なにしてんだよ、」
貴女『っ!』
62人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:永舞 | 作成日時:2020年12月31日 20時