愛する者よ (ページ16)

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十五話ページ16

こうして、Aと千鶴は新選組に身を置くことに

決まった。

一『副長、屯所でのこの者たちの扱いはどうなるので
　すか』

土方は額の眉を顰め、険しい表情になると、

土方『雪村は誰かの小姓ってことでいいだろ。
　 Aに関しては特に扱いは決めねえ。
　だが不審な動きを取った時はタダじゃおかねぇ
　からな』

総司『何か、土方さんAちゃんにあまいです
　ね』

土方『うるせえぞ、総司。なんならお前がAを
　監視しててもいいんだぜ』

総司『嫌ですよ。僕お世話とか苦手なんで』

貴方『では、私は自由にしてもらえるんですか？』

土方『勘違いするなよ。屯所を歩き回るのは自由だが
　外に出歩くことは許してねぇからな』

土方の恐ろしい声音と表情にAは答えようがな

くなってしまう。そんなAを見兼ねたのか

近藤『まあ、トシ。A君はこれからこの屯所に
　いることになるんだ。もう少し優しくしてやっ
　たらどうだね？』

近藤が土方を嗜めた。

近藤『A君、雪村君、今から君達の部屋へ案内
　をしよう。まだ頭の整理ができてないかもし
　れないが、楽にしてくれ。』

千鶴『はい、ありがとうございます！』

千鶴は元気に返事をした。でもAはそう陽気

にはいられなかった。

そう、Aには帰るべき場所があるのだから。