5.噂 ページ13
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初夏、馬鹿馬鹿しい程茹だる頭と火照った頬が悩ましい。地面から照り返される熱で景色が揺らいでいる。ぼんやりとこれからの暑さを考え、楽しみも興奮も感じられずに頭を抑えると、青々と茂った木の下に見知った顔が居た。
挨拶しないのも不自然だろうから多少なり声をかけるとしようか。
｢えーと、どうも｣
｢あ？なんだ、雲雀の野郎のか｣
男にしては少々長い銀髪を鬱陶しそうに払って私へ大変不躾な態度を取る彼は、ボンゴレ嵐の守護者の獄寺さんである。さらっと雲雀の野郎の扱いされてしまった。
じわりと敵意、よりかは嫌悪に近い感情を彼から感じ取る。
恭弥さんとは中々関係に亀裂があるらしい。まあ、言わんとするところはわからないでもない。そもそも私もあの人といるのは不本意なのだ。
あの取引を持ちかけた後、道玄組は事実解体のような形になりつつも持っていた力と親交、権威は恭弥さんのものとなり、それなりに動かしている、らしい。本人と直接深い話をしたわけではないので私はよくわかっていないのだ。
深く追求したり、詳細について話そうとすると、必ず兄が間に割って入ってきては話をはぐらかされる。その兄が一体組を引き継いだ恭弥さんと何をしているかもわからない。私は結局どこまでも蚊帳の外の存在だった。
ボンゴレとのコミュニケーションにも私は関わっていないので、本当に雲雀恭弥の付属品程度の位置にしか属していない。伝えてこないことをぐいぐいと追求するような強さも立場も気力もないので流されるままに楽な方へと来ているのが現状だ。
だからこそ、外でも内でも沢田さん達ボンゴレファミリーという組織と関わることが殆ど無い。
｢暑くなって来ましたね｣
｢ああ、まあ……。お前のこと、てっきり雲雀みてえな奴だと思ってた｣
ぽつりと彼の口から零された私への偏見に苦笑いを返す。
まさか。
彼と同じような人間が彼の身近に居る訳がないだろう。人は自分と真逆の性質に惹かれ着いて行くのだ。現に忠犬のようなタイプかやたらと朗らかな人間ばかりあの人の周りに集まっている。不思議だと毎度思っているが、本人たちも進んで恭弥さんを慕っているので強く止めることもできないでいるのだ。
ああはなりたくないのが本音である。
｢出会い頭に他人を殴るような非人道的人間と一緒にしないでいただきたいです｣
｢思ってたよりボロクソ言うじゃねえか｣
気に入ったぜ、と六月の空の下、眩しい日差しの中で光を乱反射させる銀髪が揺れる。
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さとう(プロフ) - コメント失礼します。とっても面白くて何回も読み返してしまいます！夢主ちゃんと雲雀さんの歪な関係がとてもグッときます。影ながらいつも応援しております。更新無理せず頑張ってください！ (2019年6月18日 23時) (
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作者名：銀竹 | 作成日時：2019年5月28日 20時
