ep284 ページ37
今だって立ってるだけで苦しいはず。
でも銀時はそれでも立ち上がるし倒れない。自分の為、そして自分の大切な人達の為に。
だからさ晋助、諦めなよ。
君がどんだけ絶望を食らって生きたって銀時には関係ない。
「高杉、俺はお前なんぞを選んだつもりはねェよ。ただ、お前が大切に思うものよりアイツが大切に思うものを知りすぎてただけだ」
いつだって私達の先陣を切って道を切り開いてたのは銀時だった。
あの頃と何もかも違うとは言ったけど、それでも変わらないものだってあると、私は今なら信じられる。
「俺はたとえ師の屍踏み越えても、お前の屍踏み越えても……アイツの弟子、俺達の仲間――松下村塾の高杉晋助の魂を守る。
俺は吉田松陽の弟子、坂田銀時だ」
前髪から覗く銀時の瞳はいつも通り死んだ魚のようで……でもそれでいて眩しいほど真っ直ぐな瞳。
そして、銀時の言葉で足元を確かめるように目を伏せた晋助は
「……くくっ……」
と漏れ出る笑いを隠さなかった。
「この期に及んで……てめぇは…まだ」
可笑しそうに笑う晋助の瞳が少しだけ、嵐の中私を見つけ出してくれたあの日の瞳と重なる。
「……そうか……知らなかったよ。俺ぁまだ破門されてなかったんだな」
血だらけのまま、ガラにもなく嬉しそうな顔をする晋助。
なに、そんな簡単なことも分かってなかったのかよ、とこちとらぼやくしかない。
「破門なんて松下村塾の辞書には無いっつーの」
まったく…と私もそう笑いながら立ち上がった
その時、視界の端にキラリと光る何かが映り込む。
そして次の瞬間――
ドスッ……と鈍い音とともに晋助の身体を貫いたその“何か”。
血飛沫が舞って、晋助がまるでコマ送りのようゆっくり、ゆっくりと倒れていく。
あまりに突然のことにただ立ち尽くしていた私は、シャラン…と響いた軽やかな音色で一気に現実に引き戻された。
ゆっくりと視線を注いだ先には、地面に倒れた晋助を貫く、あの錫杖。
「言ったはずだ。師に拾ってもらった命、無駄にするものではないと」
見覚えのある笠に、忘れもしないあの黒い袈裟。
「八咫烏が告げし天啓に二度目は無い。松陽の弟子達よ」
その言葉と同時に遠くで何かが爆発する音。
そして、私はその時になって初めて気付いたのだった。
自分がまた大きな失敗をおかしたことに――――。
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ギラッフェ(プロフ) - ゆうゆさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さってて本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!テストに間に合ってよかったです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうゆ - 更新凄く楽しみに待ってました!応援してます、これからも頑張ってください!! (2021年2月26日 1時) (レス) id: 90e018deaa (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - めちゃめちゃ楽しみにしてました!これからの展開が楽しみですこれで明日のテスト頑張れます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: a90e951796 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - じゅうぞうさん» コメントありがとうございます!なかなか更新できずすみませんでした。応援ありがとうございます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2020年8月29日 0時