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ep270 ページ23

―貴女side―




――俺達が守るものなんざもう何もねぇ……


幾年ぶりかに目にした晋助は光のない瞳でそう言うと、銀時を嘲笑うような表情をして見せた。


心のどこかで、昔と変わらない晋助を想像していた私は、不気味に笑うその男を見て肩透かしを食らったような気分になる。


あの頃とは似ても似つかない濁った眼、歪に吊り上がる唇、斜に構えたような姿――……何もかもがまるで別人だった。



「……ったく、誰だよほんと」


ぽつりとそう呟いて、思わず溜め息をついた。





――もう守るものなんか無い?


バカ言え。

ならなんでわざわざあの『鬼兵隊』そっくりの新しい鬼兵隊を作った?

国を壊すためのただの道具?使い捨ての駒?



……違うだろ。なんで認めない?


お前の守るべきものはすぐ隣にあるだろ。ここまで付いて来てくれた鬼兵隊(かれら)だ。




……なんでそんな簡単なことがわからない?


呆れてものも言えない。



 



そして


「てめぇが抱えたのはただのママゴト道具だ」


晋助のその言葉を聞いた時、私の鬱憤と怒りは頂点に達し、


「……クソが」

と呟きながら気付けば晋助に問いかけていた。




「なら確かめてみる?本当にママゴトかどうか――」


今、私達が守ろうとしてるものがただのママゴトか。

今、君を信じて共にいてくれる彼等がただのママゴトか。




「その眼でちゃんと確かめてみろよ、ポンコツ」



だがそう問われた当の晋助は、私を見て一瞬だけ目を細めたかと思うと、すぐに興味を失ったように銀時に向き直った。


あーあーあー。参謀なんかに用はありませんってかよ。





「ママゴトはもう終ぇだ。銀時……おめぇはもう一度全てを失う……!」


そしてそう言い放つと、嬉々として刀を構える晋助。




……あぁ、そこは変わってないんだ。

懐かしいその構えに些か胸の奥の方が痛くなる。



一方の銀時は木刀を片手に私の名を呼んだ。


「……手出しすんじゃねぇぞ」


鋭い視線を寄越す銀時に


「分かってるよ参謀舐めんな」

口角だけ上げて言い返す。


その答えに満足したらしい銀時は私に頷くと、晋助に向き直った。



「俺はなにも失ってなんかねぇよ。ただ一つ……守る背中が減っただけさ」




 

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ギラッフェ(プロフ) - ゆうゆさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さってて本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!テストに間に合ってよかったです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうゆ - 更新凄く楽しみに待ってました!応援してます、これからも頑張ってください!! (2021年2月26日 1時) (レス) id: 90e018deaa (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - めちゃめちゃ楽しみにしてました!これからの展開が楽しみですこれで明日のテスト頑張れます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: a90e951796 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - じゅうぞうさん» コメントありがとうございます!なかなか更新できずすみませんでした。応援ありがとうございます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2020年8月29日 0時

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