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ep159 ページ12

全てが片付いた天守閣で悠長に現れた天導衆によって定々が連行されていく。


「そちらにも言い分があるだろうが、この件……一旦我らに預けよ。定あ公の身柄はこちらで確保する」


当然のようにこの件を不時着させようとする天導衆。自分達が介入すれば何でも思い通りに出来ると……胡座をかいているのがぷんぷん伝わってくる。

だが、そう手筈通りにはさせない。


「ここまで国の正道たる城内を乱せば重い処罰は免れますまい……」


彼等が脅迫とも言える台詞をチラつかせ、終止符を打とうとしたその時――――



「その必要はござらん」


将軍が現れ、毅然と言い放った。

「これは我々の国で起きたこと……我々で処するが筋かと」


だがこれにも「これはこれは将軍殿……ご無事でなにより」と相も変わらず余裕の天導衆。


……とことん舐め腐ってるな。

もはやこちらもこちらで苦笑いさえ込み上げてくる。



「だがこれは心優しき貴殿を思っての提案なのだが……。いくら訳があったとは言え、主君に刀を向けた愛する家臣を処するのは心が痛むのでは?」


下卑た笑いを貼り付けて皮肉交じりに返って来た言葉に将軍は大きく息を吸って答えた。



「その者等は主君に剣など向けてはいない。己が信念という法……己が魂という主君の為に戦ったのです。
もしそれを罪と定め、彼等を裁くのならば――」



その言葉と同時に将軍を取り囲むように刀を構えた江戸の二大警察。
そして将軍の目配せを合図に、私は城外の警察組織に指令を飛ばす。


《全隊、砲撃準備》


すると城の外から砲台を動かす音が聞こえてきた。



「私に剣を向けた人間は全て罪人である。しかしそれらを全て裁いていては、この国は滅ぶことになりましょう」


私はその異様な光景を少し離れたところから眺めていた。


「全ての罪は彼等の主君となり得なかった将軍家にあり。叔父上……貴方を止められなかった私も責を負う覚悟は出来ています」


そして定々の目の前に『解官詔書』がひらりと落ちた。


「まさか貴様……将軍を辞する気か……!?」


将軍はその問いをまるで愚問だと切り捨てるように流し去ると、天導衆に向き直って再び言い放った。






「お引き取りを。ここは…………侍の国にござる」







 

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ギラッフェ(プロフ) - 腐った女子さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてすごく嬉しいです!励みにさせていただきますね!! (2020年5月30日 15時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
腐った女子 - いつもこれが更新されるのを励みにしてます(笑) 更新頑張って下さい! (2020年5月30日 1時) (レス) id: 59a5a46759 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 水神の狐さん» コメントありがとうございます!この回、性転換回というより野糞回だな…と個人的には思ってます笑笑 これからもよろしくお願いします! (2020年5月1日 23時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
水神の狐(プロフ) - 安心と納得の野糞wwwめちゃめちゃすきです!!これからも更新頑張ってください! (2020年5月1日 18時) (レス) id: 5a6fe00bf5 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ジャスタウェイさん» ありがとうございます!もうお名前からして同志って感じで嬉しいです!これからも宜しくおねがいします! (2020年4月13日 16時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年9月17日 19時

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