ep160 ページ13
――後日
「どーもー具合はいかがですか、佐々木局長――……ってあれ、お二人共来てたんですか」
ドーナツを買い入れて訪れた佐々木局長の病室には見知った真選組の局長、副長がいた。
それもよりによって一瞬、ここが病室か疑うくらい殺気で満ち満ちた空気。
……間が悪かったか。
などと思いながらも仕方なく病室に足を踏み入れ、窓側に見舞いの品を置いた。
それを気にする風でもなく佐々木局長は携帯をいじりながら局長達に尋ねる。
「今更、利用されたことに気がついて私を斬りに来たんですか?」
携帯の液晶から目を離さずに問うその様子はかえって二人の怒りを煽っているようにも見えた。
「悪政を正すためなら喜んで利用されるが、我々の咎を一身に背負われた殿を利用したとなれば黙って見過ごすわけにはいかない」
だがそれを買い被りすぎだ、とでも言うように佐々木局長は答える。
「一橋の台頭から殿の失脚まで私が想定していたと考えているのならばそれは誤解です」
そう、むしろこの件に関しては将軍がその地位を捨てるまでに坂田銀時という男に心動かされたことが驚きだ。
「流石に今回の結末までは予想つきませんでしたよ。…………まぁ、予想がついていた方もいたようですが……」
そう言って私の方を一瞥する佐々木局長。
「ははっ、やめて下さいよ。私だって神や仏じゃないんですから」
肩で笑って返すが、「……どうだか」と言ってまた携帯をいじり始める。
一方の私は自分の選択は間違っているだろうかと尋ねてきた時の将軍の表情と、彼が握りしめていた解官詔書を思い返した。
「…………まぁ、知っていたところで私はどうもしませんでしたけどね」
あれは将軍の己が信念。他人がどうこうするべきではない――……と言いつつ、逆に背中を押すようなことを言ったのも事実か……。
胸中で苦笑いしていると佐々木局長が大きく息を吸う。
「正直、将軍の首を据え変えたところでこの国は変わりません。ましてや一橋の若君の矮小な法螺では話にもなりませんね」
ベッドに横たわる佐々木局長を眺めながら
……読めない
つくづくそう思った。
「私が乗っかったのはもっと突拍子もない大法螺です」
この男は背後で誰と繋がっているのだろう……。
使えばこの上なく強力な駒だが、後ろ盾が分からない内は危険因子に変わりはない。やはり下手に引き込まない方が得策か。
などと考えながら先客の見舞い品であろう林檎の皮を剥いた。
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ギラッフェ(プロフ) - 腐った女子さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてすごく嬉しいです!励みにさせていただきますね!! (2020年5月30日 15時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
腐った女子 - いつもこれが更新されるのを励みにしてます(笑) 更新頑張って下さい! (2020年5月30日 1時) (レス) id: 59a5a46759 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 水神の狐さん» コメントありがとうございます!この回、性転換回というより野糞回だな…と個人的には思ってます笑笑 これからもよろしくお願いします! (2020年5月1日 23時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
水神の狐(プロフ) - 安心と納得の野糞wwwめちゃめちゃすきです!!これからも更新頑張ってください! (2020年5月1日 18時) (レス) id: 5a6fe00bf5 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ジャスタウェイさん» ありがとうございます!もうお名前からして同志って感じで嬉しいです!これからも宜しくおねがいします! (2020年4月13日 16時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年9月17日 19時