ep140 ページ43
「ごめんなさいね、神楽ちゃん。せっかく来て貰ったのにお城がぴりぴりしてて……」
「気にすることないアル!」
仲睦まじく語り合う二人を眺めながら、私は隣を歩く銀髪に半笑いで問いかけた。
「……オイ、なんで来た」
「……いや、なんで居る」
お互いに死んだ魚のような目で視線を交わす。
あわや一触即発のような雰囲気に
「あの……くれぐれもお城の中で乱闘、とかやめて下さいね?」
と新八君に釘を刺される。
だが両者、それなりの理由があってここに居るわけで……そう簡単に事情を話すわけにもいかない現状。
仕方なく溜息を吐けば、
「腐れポリ公からオメエは1週間の有給休暇取ってバカンスだって聞いてたんだけどな?」
「そーそー、見ての通り江戸城でバカンスしてるよー」
「Aさん、その言い訳はちょっと苦しいです」
バカ丁寧に突っ込んでくれる新八君に「知ってる」と返し、本日何度目かの溜息。
てか副長、私がバカンスしてると思ってんのか。こちとら休日返上で働いてるってのに……。
……まぁ、確かにごねてごねてごねまくって何とか1週間の休暇ぶん取ったから根に持たれてるのは一理ある。
だが……うん、この際それは関係ない。
「そっちが何の目的で来たのかは知らないけど、私の仕事の邪魔はしないでね」
「ったく……偉そうに」
そう吐き捨てた銀時をじとりと見ながらその横の月詠さんを窺い見た。
すると「……な、何か…?」とこっちを見て聞く彼女。
「いや、素面で会うのは初めてだなと思いまして」
初対面はホスト辞めるだのマダムだの言ってたあの事件の時だけど…
会ったことあったか?みたいな月詠さんの表情からして覚えてないんだろう。
「はは……かなり酔ってたし覚えてないですよね。改めまして橘Aです。宜しく」
私の手を戸惑い気味に握る彼女を見ながらふと思う。
彼女が居るということは銀時がここに来たのは吉原関連か……。嫌だな……吉原が絡むと決まって銀時は無茶をする。
前もそうだった……。
自分の中に渦巻くどす黒いもやに思わず顔を顰めた。
「月詠じゃ。宜しく」
だがこちらのそんな薄暗いところなんか片鱗も知らない相手は快く自己紹介をしてくれる。
うわぁ……月詠さん、いい人だ……いい人すぎる。
抱く必要もない罪悪感に私が苛まれている間にも
「何して遊ぼうかしら!」
姫と神楽ちゃんは楽しげに和気藹々としているのだった。
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ギラッフェ(プロフ) - AISさん» コメントありがとうございます!心臓刺激できたようでよかったです笑 これからも宜しくお願いします! (2021年3月24日 23時) (レス) id: d3f370a12a (このIDを非表示/違反報告)
AIS(プロフ) - 橘ちゃんのキャラと能力がどストライク過ぎました。(真顔ゲンドウポーズ)銀さん「ったく、もうちったぁ俺の相手しろよ……。薄情なやつだな」AIS「おっ?君ツンデレか??ならば良し」。ワタクシの心臓を刺激しましたねハイ。更新頑張ってください!応援してます! (2021年3月22日 0時) (レス) id: 2a56ff43b4 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - なまたまごさん» 尊敬だなんでとんでもないです!ただたた銀魂が好きなだけです笑 なまたまごさんもがんばって下さい! (2019年6月24日 20時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
なまたまご(プロフ) - すごく面白いです…!同じ作者として尊敬します。これからも頑張ってください!! (2019年6月24日 0時) (レス) id: b5ac9a2789 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Nightさん» 応援ありがとうございます!!ぜひぜひ楽しみにしてて下さると嬉しいです。がんばります!! (2019年6月23日 11時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年4月19日 7時