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ep107 ページ10

何も言わず去って行ったテツの背中を見送りながら、私はゆっくり目を瞑った。

その時――



「A君、そこにいるんだろう?」


局長が言った。

「バレてましたか」と言って顔を出せばバスケユニフォーム姿の局長が笑う。


「盗み聞きは良くないぞ」


腕を組んでそう言う局長に私はやれやれと苦笑いしながら溜息を返す。


「何言ってるんですか。私にも聞かせる気で話してたんでしょう?」

「ははははっ!バレてたか!」


局長につられて私も笑う。


「なぁA君。君はテツのこと……どう思う?」


どうと言われても……。


「第一印象は最悪でしたよ。でもまぁ……自分のことをあんな風に言えるってことは捨てたもんじゃないと思います」

「ウチの参謀が言うなら間違いないな」


そんな全幅の信頼を寄せられても困るんだけどな……と思いつつ局長に尋ねる。



「というか良かったんですか?勝手に喋ったら怒るでしょう、副長」

「まぁな……。でもいいさ。それでトシも吹っ切れる何かがあるだろう」


「ならいいですけど……。副長みたいな人にもそういう過去ってあるんですね」


人間というのは出会い、巡り会いでいくらでも変わるものだと知れたのは私も最近のことだ。

副長にとって今の真選組の仲間はそういう人生を変えるだけの力を持つ巡り会いだったというわけだ。



「A君にも、そういう過去はあるのかい?」


その問いに私はふと月を見上げる。そして温かな風を頰に感じながらどこか遠くを見て答えた。



「……さぁ、どうでしょうね。……というかそれ聞くの契約違反ですよ?」


「あぁ〜そうだった!悪かった悪かった!!」



慌てふためく局長を内心からかいつつ、私はさっきからガタガタゴタゴタと騒がしい道場の中を指差した。




「で。そろそろ止めません?あのバスケの乱闘」






 

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ギラッフェ(プロフ) - AISさん» コメントありがとうございます!心臓刺激できたようでよかったです笑 これからも宜しくお願いします! (2021年3月24日 23時) (レス) id: d3f370a12a (このIDを非表示/違反報告)
AIS(プロフ) - 橘ちゃんのキャラと能力がどストライク過ぎました。(真顔ゲンドウポーズ)銀さん「ったく、もうちったぁ俺の相手しろよ……。薄情なやつだな」AIS「おっ?君ツンデレか??ならば良し」。ワタクシの心臓を刺激しましたねハイ。更新頑張ってください!応援してます! (2021年3月22日 0時) (レス) id: 2a56ff43b4 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - なまたまごさん» 尊敬だなんでとんでもないです!ただたた銀魂が好きなだけです笑 なまたまごさんもがんばって下さい! (2019年6月24日 20時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
なまたまご(プロフ) - すごく面白いです…!同じ作者として尊敬します。これからも頑張ってください!! (2019年6月24日 0時) (レス) id: b5ac9a2789 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Nightさん» 応援ありがとうございます!!ぜひぜひ楽しみにしてて下さると嬉しいです。がんばります!! (2019年6月23日 11時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年4月19日 7時

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