【銀魂】前職：攘夷四天王専属参謀 参

ep108 ページ11

「副長が見廻組と一悶着起こしたらしいぜ」


翌日、私はその言葉に廊下を進む足を止めた。見廻組…？
情報収集がてら休憩所の隊士の会話を盗み聞きする。


「新設されるや否や他の警察組織を牛蒡抜きの活躍だよ。
しかも局長の佐々木異三郎はとんでもねぇ切れ者らしくてな」

佐々木異三郎……？


「あのボンクラと腹違いの兄弟だそうだ。今回の悶着も副長があいつを庇ったらしいぜ」

「マジかよ⁉さっさと局中法度にかけて斬っちまうつもりかと思ってたのに」


「まぁ、副長は案外その辺で甘いからね〜」


扉の後ろからふいっと顔を出して言えば、「お、お疲れ様です！」と慌てて頭を下げた隊士達。

そして頭をあげると二人で顔を見合わし、「えっと……」と戸惑い気味に私を伺い見る。
何だろう？と首を傾げていれば隊士がタバコの自販機を指差した。


「タバコですか？」

「違う違う。私、吸わないの知ってるでしょ」

「じゃあコッチですか？」


そう言って次に指差したのはアァンな本の自販機。

「そうそう、その女の子超タイプなんだよね〜……ってんなわけあるかッ！！」


と、隊士達に突っ込んだその時、背後でくちゃくちゃとガムを噛む音が聞こえた。
この音は――……


振り返れば案の定、噂の人物――佐々木鉄之助。

無言でガムを噛み続ける様子にこちらも黙って彼を見ていると


「お疲れ様です先輩ッ！！大変お手数おかけしますがそちらの自販機使わせてもらってもよろしいでしょうか！！」


突如勢いよく頭を下げてそう言ったテツ。
戸惑う私達。

なんかキャラ違くない？

あまりの違和感に何も言えない私の横を通り過ぎ、タバコの自販機の前で色々悩みだす。



「副長に頼まれたの何だったっけ？……いや、そもそもタバコは身体に悪い…………。ハッ！！ならこっちを買っていけば！！」


そう言ってアァンな本を見上げるテツ。
いや、やめとけよ？それもうマジで局中法度ものだから！シュバッと斬られちゃうから！


「これできっと副長も元気に……！」

いや、それ違う。元気になるものが違う。


……けど、面白そうなので乗っかろう。



「ねぇねぇテツ君。たぶんこっちの女の子の方が副長のタイプだと思う」

「橘参謀！助言ありがとうございます！ではさっそく」


とお金を投入しようとしたその時……



「さっさと買って来いやぁぁぁあああ！！」



副長が現れた。



「ちぇ、来ちゃったか」



　

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