ep128 ページ31
―no side―
ドォォン――……
ヘリが墜落し、火柱が上がる中
「何がどうなってる!?」
見廻組は現状把握もままならない混乱の渦中にいた。
そこへ
コキィ……キィィ……
場違いにも程がある間抜けな音を立てて現れた自転車。
「あーもう、この自転車絶対錆びてるって……最悪。疲れた……」
不平不満を垂れ流しながら自転車を押して近づく人影に見廻組は顔を見合す。
よりにもよってこのタイミングで民間人が通りかかるなんて……。誰もがそう思った時……
ドゴォォォ――……!
凄まじい轟音をあげて廃ビルの一つが崩れ去る。
「局長!あちらのビルがっ!!」
混乱に混乱を極める見廻組の横を「いやぁ……ド派手にやるねー」と愉快げに通り過ぎようとする黒服の女。
佐々木はそれを
「待ちなさい」
引き止めた。
「ん?あーこれはこれは……見廻組の佐々木局長じゃないですか。お疲れ様です」
すると今気付いたとばかりに立ち止まって大袈裟な挨拶をしてみせる。
「……貴女、何者です?」
自分の名が知られていると分かって訝しむ佐々木に「そんな警戒することでもないでしょう」とフードの下で唇だけが愉快げにつり上がる。
「江戸の人間は大抵知ってますよ、三天の鬼――佐々木異三郎」
その台詞の節々に畏敬とも尊敬とも取れない何かが混じっていることに佐々木は気づき、眉をしかめた。
「……とは言ってもこちらも名乗るべきですね。私はこういう者です」
女はどこからか、すっと名刺を抜き出して差し出した。
「橘A…………真選組専属参謀」
「えぇ、現時点では……ですが」
カチャ――……
名刺を読み上げた佐々木に笑いかけるA。その目の前に佐々木の銃口が向けられた。
「まさかとは思いましたが……成る程。貴女があの」
「まぁ正式にはフリーランスの参謀なんですけどね。佐々木局長も何かお困りの際はぜひお声掛け下さい?」
銃口を向けられているにも関わらず飄々とするAに佐々木は無表情で問うた。
「撃たれるとは思わないのですか?」
「逆に貴方はここで私を撃てるほど阿呆なんですか?」
質問を質問で返すA。
あくまで雇われの身である彼女を真選組の身内としてここで撃ち殺せば、非難、処罰は避けられない。
それを見越しての台詞だった。
佐々木が仕方なく銃を降ろしたその時――……
「至急……応援を頼む…っ」
満身創痍の隊士が現れた。
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ギラッフェ(プロフ) - AISさん» コメントありがとうございます!心臓刺激できたようでよかったです笑 これからも宜しくお願いします! (2021年3月24日 23時) (レス) id: d3f370a12a (このIDを非表示/違反報告)
AIS(プロフ) - 橘ちゃんのキャラと能力がどストライク過ぎました。(真顔ゲンドウポーズ)銀さん「ったく、もうちったぁ俺の相手しろよ……。薄情なやつだな」AIS「おっ?君ツンデレか??ならば良し」。ワタクシの心臓を刺激しましたねハイ。更新頑張ってください!応援してます! (2021年3月22日 0時) (レス) id: 2a56ff43b4 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - なまたまごさん» 尊敬だなんでとんでもないです!ただたた銀魂が好きなだけです笑 なまたまごさんもがんばって下さい! (2019年6月24日 20時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
なまたまご(プロフ) - すごく面白いです…!同じ作者として尊敬します。これからも頑張ってください!! (2019年6月24日 0時) (レス) id: b5ac9a2789 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Nightさん» 応援ありがとうございます!!ぜひぜひ楽しみにしてて下さると嬉しいです。がんばります!! (2019年6月23日 11時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年4月19日 7時