ep447 ページ50
しかし実際、この助け舟でかなり戦況は変わる。
自分の星襲撃受けておきながらおっかなびっくりで腰引けてる他国の奴等なんざ、あてにならないと思ってた。
「紫雀さんどうやって辰馬引き入れたの?」
《言っただろう、引き入れたんじゃない。寧ろ捕まって引きずられて来た》
あー……なるほど
《助けを求めるなら他国よりも何よりも、まず友達だろうと……そう言われてな》
自分から巻き込まれに来たか……。一応気を遣ってたんだけどなぁ。
2年前の戦い、快援隊の被害は甚大だった。多くの隊員を失いあの陸奥ですら重傷を負って、主要船の数々も失った。
せっかく再起の兆しが見え始めたのにそれを潰したくない——なんて思ってたのだけど。
……なるほど。そんな的外れな甘やかしは要らんと、辰馬の方から願い下げられたらしい。
《そういうことぜよ、頭でっかちのお節介参謀。…… おまんらだけに戦わせはせんぜよ》
上空から響き渡る爆撃音。辰馬達の攻撃は、上からの襲撃に手薄だった九曜を確実に痛めつけてる。
路地裏で見上げてる暇はない。
「辰馬、九曜——……堕とせるね?」
《聞かれるまでもないぜよ》
「こっちはターミナルまで突っ切る。撃墜は任せた!」
ターミナルへと走る私達の耳には
《師の尻を拭えるのは弟子しかおらんと?
なら
辰馬らしい台詞と同時に
ドォオオオンッ——!!!
ターミナルの最上部に叩き落とされた九曜。
「……アイツ、本当に……やりやがった」
茫然と足を止めて驚く銀時に笑ってしまう。この2年で忘れてしまったらしい。
もともと坂本辰馬はそういう男だ。
それはさておき、地球まで堕ちて来てもらえばこっちがホーム。道は開いた。
《空はわしが預かる!そっちは任せたぞ!》
私達はターミナルの九曜を睨みつけて再び走り出した。
《2年前、わしらが命賭けて戦ったんは世界救うより、もう一度あの日常を取り戻すためだった……》
でも戦が終わってもそれは帰ってこなかった。
街は元の形に戻りつつあってだんだんと活気は満ちていくのに……。
きっと誰もが思っていただろう——それでも何か、まだ帰ってきてない。一番守りたかった筈の何かが取り戻せていないと。
《わしが戦う理由はそれだけで足りる。おまんらの戦いがまだ終わっとらんのなら——
おまんらがまだ帰れんというのなら……わしの戦いも終わりはしない》
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Hi(プロフ) - ぜひ!末永くお待ちしております(*^^*) (2月18日 2時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Hiさん» コメントありがとうございます!わかります、私も原作で涙しました笑 明言はできませんが決して救いも希望もない結末にはしないので完結まで楽しみにしていてくださると嬉しいです (2月17日 21時) (レス) id: 2081f8c6f1 (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - コメント失礼致します!大変面白く中身もきっちりと構成されていて感動しながら読んでいます(*^^*) 野暮ですが、希望としては高杉晋助が死なない方向がいいなぁと思っています、打たれ弱いので笑笑 (2月17日 15時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - りんごジュースさん» コメントありがとうございます!キュンキュンしていただけましたか!とっても嬉しいです(^^) 今後ともよろしくお願いします! (1月31日 0時) (レス) id: 4ad20a9210 (このIDを非表示/違反報告)
りんごジュース - コメント失礼します!主様の作品どれも素敵で一気に読んでしまいました笑笑どのお話もキュンキュンしてました!!これからも陰ながら応援しています! (1月30日 22時) (レス) @page50 id: 81b633d03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2023年9月10日 22時