ep432 ページ35
——時は遡ること約2年前。
虚との戦いの後、
長期の入院とリハビリを終えたAは、自分の入院中一度も見舞いに来なかった旧友がもはや江戸にいないことを知った。
「はは……どおりで見かけないと思えば」
呆れたように言うものの、彼女の顔に暗い影がかかっているのは誰の目にも明らかだった。
別に江戸を去った理由が解らないわけではない。彼女もまた、討ち取り損ねた虚を今度こそ…と入院中、幾度も幾度も思考を巡らせていたのだから。
でも、だとしても……と思うのはもう理解できるか云々ではなく、感情の問題だった。
なぜ置いて行った…と非難したいわけでも、寂しいと泣き出したいわけでもないのに
心は隙間風が吹き荒ぶほど渇ききって空虚だった。
退院祝いに約束通り真選組と酒盛りをしようと、戦死した隊士達や万斉、喜々の墓の前で手を合わせようと……
どうにもその空虚は紛らわせなかった。
新しい道を見つけて去る者達を一通り見送った後も、Aは自分が江戸に残ることにどこか違和感を感じ、だがかと言って他に行く宛ても知らず……
糸を失った凧のようにふらふらと、ゆらゆらとただ漂うしかできなかった。
時折、人形のように表情を失って、気付けばふっと消えていそうな……
そんな危なげな空気を纏い始めたAを見かねて動いたのは、図らずも松平と桂だった。
内閣総理大臣専属参謀という役割を押し付けることで、彼女を繋ぎ止めておけるかもしれない——そんな魂胆で。
だが、桂は心のどこかで彼女ならそれを断って銀時か高杉を追いかけるのではないかとそう思っていた。
しかし彼女は2人の魂胆など透けて見えていただろうに提案を受け入れ、こう言ったのだ。
「ここで私がアイツらを追いかけたら私達また散り散りでしょ？だからやめた。昔と同じ轍は踏まない。やるよ、ヅラの参謀」
そう語る瞳はいつもの“参謀”の眼に戻っていた。思っていたほど弱っていたわけでもないのか？と少し安堵する。
「腐ってもこの国の頂上なら、私が1番に
「その時は精々ふんぞり返ってあの2人に言ってやれ。貴様らが仲間を捨ててまで費やした2年などまったくの無駄足だったと」
「あははっ、なにそれ最高」
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Hi(プロフ) - ぜひ！末永くお待ちしております(*^^*) (2月18日 2時) (
レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Hiさん» コメントありがとうございます！わかります、私も原作で涙しました笑 明言はできませんが決して救いも希望もない結末にはしないので完結まで楽しみにしていてくださると嬉しいです (2月17日 21時) (レス) id: 2081f8c6f1 (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - コメント失礼致します！大変面白く中身もきっちりと構成されていて感動しながら読んでいます(*^^*) 野暮ですが、希望としては高杉晋助が死なない方向がいいなぁと思っています、打たれ弱いので笑笑 (2月17日 15時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - りんごジュースさん» コメントありがとうございます！キュンキュンしていただけましたか！とっても嬉しいです(^^) 今後ともよろしくお願いします！ (1月31日 0時) (レス) id: 4ad20a9210 (このIDを非表示/違反報告)
りんごジュース - コメント失礼します！主様の作品どれも素敵で一気に読んでしまいました笑笑どのお話もキュンキュンしてました！！これからも陰ながら応援しています！ (1月30日 22時) (レス) @page50 id: 81b633d03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ギラッフェ
| 作成日時：2023年9月10日 22時
