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ep429 ページ32

しかしその時——


ゴゴォオオ……


凄まじい轟音が空から降ってくる。

見上げた先には地球に衝突せんばかりの速度で落ちる天鳥船。



瞬間、虚はすかさず我々全員を腕節一つで薙ぎ払った。


「……くっそ、……」

瓦礫に打ち付けられた身体に鞭を打って立ち上がった瞬間、
自分の身体を逆流してくる熱い何か——



「……——ッ、ごぼっ」

「橘ッ!!」


「……ゲホ、ゴホッ……っ…、……大丈夫です」


「いやその状態じゃ——」

「うっさい!!敵から目ぇ逸らすな!前見ろッ!!」


真っ赤に染まった口元を拭いながら叫ぶ。なに、血反吐吐いたくらいがなんだ?

眼だけは逸らしてなるものかと虚を睨みつける。



「よもやあの男がまだ私の中に居ようとは……。
だが人間達よ、これで終わりではない。お前達は終わりのない戦いを選んだ。もうお前達を救える者はいない」


だが敵はそう言って一歩後ずさった。




まさか——



そんな嫌な予感と共に私は咄嗟に走り出す。


奴は……虚は——



「いずれ思い知る。松陽の弟子達よ……君達は松陽を救えなかった」


手を伸ばした先で地面の亀裂へと身を投げ……



「君の師を救える(もの)はもういない——……」




不気味な笑みを湛えたまま、アルタナの光に飲まれて消えていった。






 
 







茫然と膝をつく私と銀時。




…………終わらせられなかった……




「船が!!」

「早く立つアル!」


真っ白になった頭に2人の声が突き刺さる。



「……ってる……、解ってるさ。まだくたばるワケにはいかねぇ……俺達はまだ、何もやり遂げちゃいねェんだから」



いや違う。やり遂げられなかったんだ。
仕留め損なった——……。



「早く逃げ——!」

 

その言葉と共に街を包む閃光。


思わず目を細めた瞬間——



天鳥船は衝突直前でその落下を止め、ゆっくりと地表に不時着を果たした。




その先に上り始めた眩い朝日。

滅亡の危機に晒された夜を越え、地球は朝を迎えた。





しかし依然、虚を葬り去ることは出来なかったというしこりを残したままで————。



 

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Hi(プロフ) - ぜひ!末永くお待ちしております(*^^*) (2月18日 2時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Hiさん» コメントありがとうございます!わかります、私も原作で涙しました笑 明言はできませんが決して救いも希望もない結末にはしないので完結まで楽しみにしていてくださると嬉しいです (2月17日 21時) (レス) id: 2081f8c6f1 (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - コメント失礼致します!大変面白く中身もきっちりと構成されていて感動しながら読んでいます(*^^*) 野暮ですが、希望としては高杉晋助が死なない方向がいいなぁと思っています、打たれ弱いので笑笑 (2月17日 15時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - りんごジュースさん» コメントありがとうございます!キュンキュンしていただけましたか!とっても嬉しいです(^^) 今後ともよろしくお願いします! (1月31日 0時) (レス) id: 4ad20a9210 (このIDを非表示/違反報告)
りんごジュース - コメント失礼します!主様の作品どれも素敵で一気に読んでしまいました笑笑どのお話もキュンキュンしてました!!これからも陰ながら応援しています! (1月30日 22時) (レス) @page50 id: 81b633d03b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2023年9月10日 22時

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