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ep427 ページ30

虚に斬られ、弾き飛ばされ、血溜まりに沈む彼等の死体、死体、死体————。


さっき私に触れた手の温かさは、まだこの肩に残っているのに……。


必死で唇を噛み締め、今は追悼からも哀悼からも目を逸らした。


勝つ、必ず——……虚を葬る。
それだけに脳の全てを費やすために。


その実、何よりも護りたかった筈の師の姿をした(それ)を殺すことに、今は何の同情も戸惑いも感じなかった。

きっと私の中ではもうそれ以上に今の仲間との出会いが大きかったのだろう。



あれから手に入れたもので闘う——そう誓った私と晋助。

あれから私が手に入れられたのは、今恐怖に襲われながらも明日を迎える為に敵に立ち向かっている彼等(なかま)だ。


彼等(なかま)を信じて戦場に送ることが、すなわち私の闘いなのだ。

それに踏ん切りをつけられなかった私に「ビビんな、信じろ」と言った銀時。




ならば私は信じるしかない。




小さすぎる歯車と歯車が、それでも少しずつ何かを動かして波となることを。


そしてそれが大流となってあの化け物を葬ることを——。





その時、



虚が自分の異変に気づいたかのように一瞬、ほんの一瞬狼狽したのが視えた。


《……効いたみてぇだぞA》


インカムから聞こえる銀時の確信に満ちた声。



それに「あぁ」とだけ答えて私はアルタナの結晶を弾倉に込め、構えた。

銀時が咄嗟の目潰しを装って喰らわせた結晶は血流に乗って体内に吸収され、内側から虚の身体を破壊している。少しずつ、少しずつ……。


その異変に気付くことすらできないように、一見捨て身の攻撃も陽動も一切緩めず繰り返した。



「それでいい。小賢しくいこう」


回復能力が尽き始めた今の虚の動きなら、私の眼で充分追える。


狙いを定めて引き金を引けば、銃口から吐き出された弾が虚の身体に撃ち込まれる。それを取り出す暇は与えない。



——銀時達(なかまたち)が奪うのだから。




 

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Hi(プロフ) - ぜひ!末永くお待ちしております(*^^*) (2月18日 2時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Hiさん» コメントありがとうございます!わかります、私も原作で涙しました笑 明言はできませんが決して救いも希望もない結末にはしないので完結まで楽しみにしていてくださると嬉しいです (2月17日 21時) (レス) id: 2081f8c6f1 (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - コメント失礼致します!大変面白く中身もきっちりと構成されていて感動しながら読んでいます(*^^*) 野暮ですが、希望としては高杉晋助が死なない方向がいいなぁと思っています、打たれ弱いので笑笑 (2月17日 15時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - りんごジュースさん» コメントありがとうございます!キュンキュンしていただけましたか!とっても嬉しいです(^^) 今後ともよろしくお願いします! (1月31日 0時) (レス) id: 4ad20a9210 (このIDを非表示/違反報告)
りんごジュース - コメント失礼します!主様の作品どれも素敵で一気に読んでしまいました笑笑どのお話もキュンキュンしてました!!これからも陰ながら応援しています! (1月30日 22時) (レス) @page50 id: 81b633d03b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2023年9月10日 22時

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