ep425 ページ28
—貴女side—
ヒノカグツチはもう落ちない。
ならばあとは私達が虚を葬ることができるか否か、それだけが地球の命運を握っている。
天鳥船に送り込んだ彼等が命懸けで繋いだ希望……絶対無駄にはしない。
私は散り散りになっていた真選組の隊士達を集めながら虚のいる主戦場へと先導する。
でもそれはすなわち、私の背後を走る彼等を死地へと送り込むのと、あまりにも同義だった。
私がさっきまで怖がって迷って逃げていたのはまさにこれだった。
ただただ仲間を死なせたくない。万策尽きてもう真正面から挑むしかないのに、そのことが苦しくて、それを決断することから逃げていたのだ。
目を凝らせば少し先に虚と闘う万事屋、団長達が見える。
私は不意に足を止め、その戦場に一度背を向けて背後の真選組に向き直った。
それに合わせて歩を止めた彼等はただ私を見つめる。
その景色を前に……
「……正直、私は貴方達をこの戦場に送りたくない」
口を突いて出たのは呆れるほどの本音だった。
「バカだよね、地球が滅べばどうせ私達も消えるのに。
それでも私はこの星より貴方達を失う方が何百倍も怖いし苦しい」
隊士達はじっと息を殺して耳を傾けていた。
「…………でもごめん。君達の命を踏み台にしないともうこの星は救えない。恨んでくれていい……こんな結末しか描けなかった私を」
この中の何人が生き残るか、何人までなら犠牲にできるか——……そんな風に数字で計ることなんてしたくない。
いや、それ以前にやろうと思っても出来ない。
だって覚えてる……。
あの人が配属したての私に楯突いたのも昨日のことみたいに思い出せる。
その隣の子は初めて私におはようと声をかけてくれた。
朝まで酒盛りしたあいつも……
いつも私の悪戯を密告してたアイツも……
膨大な書類仕事を一緒に泡吹きながら書き上げてたあいつも……
全員……
全員、死なせたくない仲間なんだ……。
頼むから、私から取り上げないでくれ……
頼むから——……
宛ても無く祈れば、
堪えきれなくなった気道が詰まりそうになった。
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Hi(プロフ) - ぜひ!末永くお待ちしております(*^^*) (2月18日 2時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Hiさん» コメントありがとうございます!わかります、私も原作で涙しました笑 明言はできませんが決して救いも希望もない結末にはしないので完結まで楽しみにしていてくださると嬉しいです (2月17日 21時) (レス) id: 2081f8c6f1 (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - コメント失礼致します!大変面白く中身もきっちりと構成されていて感動しながら読んでいます(*^^*) 野暮ですが、希望としては高杉晋助が死なない方向がいいなぁと思っています、打たれ弱いので笑笑 (2月17日 15時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - りんごジュースさん» コメントありがとうございます!キュンキュンしていただけましたか!とっても嬉しいです(^^) 今後ともよろしくお願いします! (1月31日 0時) (レス) id: 4ad20a9210 (このIDを非表示/違反報告)
りんごジュース - コメント失礼します!主様の作品どれも素敵で一気に読んでしまいました笑笑どのお話もキュンキュンしてました!!これからも陰ながら応援しています! (1月30日 22時) (レス) @page50 id: 81b633d03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2023年9月10日 22時