ep423 ページ26
アルタナの暴走により一瞬で瓦礫に沈んだ街並み。
その灰塵の中から銀時を見つけ出そうと躍起になっていた神楽と新八は
「探し物はこれかい?」
神威とその肩を借りる銀時を見て安堵した。
「まァこれに懲りたら少しは慎重に動いてもらいたいね。アンタみたいのでも戦力が削れたら
そこに現れた沖田が「旦那もヤキが回りやしたね」と言って続く。
「だが一理あらぁ。虚を前にするといつも周りが見えなくなってますぜィ。……アンタもでさぁ、Aさん」
脱出に際して沖田に助けられたらしい彼女は、その冷たい声色に些か肩を硬くしながら不自然な笑みで眉を下げた。
「厳しいなぁ。私はせめて初対面なんだから許してよ」
地球を守るために書いたあらゆる策、シナリオの全てが棄却された。その事実で漏れなく思考回路は停止。
アルタナ暴発の瞬間逃げろと叫ぶ本能に反し、彼女の身体は微塵も動かなかった。
沖田に首根っこを掴まれ、何とか呑み込まれずには済んだものの足手纏いになったのは明白だった。
「ごめ——…」
「やめてくだせぇ」
彼女が言い切るより先に沖田が遮る。地面から自分を見上げるAの瞳が不安げに揺れていて、らしくねぇ…と思った。
「俺達だってもうアンタの策に助けられるだけじゃねェ。なんも知らないままアンタに救われるのは二度と御免でさァ」
そう語る沖田の中にあるのは、彼女が見廻組につき、真選組を守るために汚れ役を買って出たときのことだ。
その挙句、自分とて満身創痍だった癖にそれを一片も見せなかった頑なさ。
放っておけばその二の舞になるのは明らかだった。
「……うん、わかった」
Aは口ではそう頷いてみせたが、表情にはまだ迷いが滲んでいた。
そこに源外を抱えた阿伏兎が現れる。
「爺さんが撒いたナノマシンウイルス、どうやらみんなお陀仏らしいぜ」
「江戸は完全なる無防備。今解放軍に攻め込まれたら止める手はねぇ」
綿密に巡らせた全ての策が一瞬にして覆される無力感。
「このガレキになった国を見れば誰もが思うだろ……もうとっくに勝敗は決したと。それを認めてねぇのはここにいる奴等だけかもなぁ」
重苦しい沈黙が降りそうになったその時——
《いや、ここにもいるぜ……てめぇらの遥か頭上にも》
彼の持つトランシーバーから声が聞こえた。
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Hi(プロフ) - ぜひ!末永くお待ちしております(*^^*) (2月18日 2時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Hiさん» コメントありがとうございます!わかります、私も原作で涙しました笑 明言はできませんが決して救いも希望もない結末にはしないので完結まで楽しみにしていてくださると嬉しいです (2月17日 21時) (レス) id: 2081f8c6f1 (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - コメント失礼致します!大変面白く中身もきっちりと構成されていて感動しながら読んでいます(*^^*) 野暮ですが、希望としては高杉晋助が死なない方向がいいなぁと思っています、打たれ弱いので笑笑 (2月17日 15時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - りんごジュースさん» コメントありがとうございます!キュンキュンしていただけましたか!とっても嬉しいです(^^) 今後ともよろしくお願いします! (1月31日 0時) (レス) id: 4ad20a9210 (このIDを非表示/違反報告)
りんごジュース - コメント失礼します!主様の作品どれも素敵で一気に読んでしまいました笑笑どのお話もキュンキュンしてました!!これからも陰ながら応援しています! (1月30日 22時) (レス) @page50 id: 81b633d03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2023年9月10日 22時