ep410 ページ13
—no side—
停戦合意から数日——。
信女の導きで虚の足取りを掴んだ万事屋は、解放軍を奇襲した虚と奈落を相手取った。
ここで虚を討ち取れば……そんな甘い幻想すら打ち砕く圧倒的な力の差を目の当たりにした銀時は、重傷の信女を抱え、一斉攻撃を受ける江戸へと駆ける。
虚と奈落の猛襲……。解放軍の爆撃によって辛うじて逃げ果せたが——。
あくまで見逃されたといっても過言ではないほど劣勢なのは明白だった。
「結局私達何も出来なかったアルか?何も守れなかったアルか!?全部虚の思い通りで——」
「まだだ!まだ間に合う!まだこの戦争は止められる!」
自分の口から出たその言葉はその実、本心とは乖離していて思わず顔を顰めた。
その時、辺りが閃光に包まれる。目を細めて見上げれば砲撃が頭上を通り過ぎた。
その向かう先は————江戸城。
ダァンッ!
江戸城に降り注ぐ砲撃と、街を焼き尽くす光線。敵艦隊が一斉に眩いばかりの爆撃を次々と堕とし始める。
江戸城は煙に呑まれ最早見る影もなく……
悲鳴と瓦の砕ける音が歪に混ざり、家屋が崩れ、全てが炎に呑まれていく——
街が街でなくなっていく。
それをただ眺めることしか出来ない万事屋のもとへ降り注ぐ砲弾。
「走れェェェエ!!」
地上部隊を躱すべく走り出すが、その先の道すら容易く封じられ敵陣に囲われた。
銀時の脳裏には先刻の虚の剣筋が蘇る。
よく見たあの剣筋、ゆえに知っている。
自分ではあれに届かないと……勝てないと。
勝つ術もなく、
街はもうじき焼き尽くされて灰になる。
走っても、走っても……
前に進んでる気がしねェ
……届く気がしねぇ
敵の地上部隊を前に立ち尽くしたその時——
——ドォンッ!!
目の前の敵の戦機が撃ち抜かれ火柱が立つ。
茫然とする万事屋の鼓膜を揺らしたのは、
「まだ終わってねェェェエエエエ!!」
いやに懐かしい声だった。
「勝手に終わってんじゃねェ。前見ろ。剣握れ」
戦機の上で翻る、目も醒めるような黒。
「戦え万事屋——……
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Hi(プロフ) - ぜひ!末永くお待ちしております(*^^*) (2月18日 2時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Hiさん» コメントありがとうございます!わかります、私も原作で涙しました笑 明言はできませんが決して救いも希望もない結末にはしないので完結まで楽しみにしていてくださると嬉しいです (2月17日 21時) (レス) id: 2081f8c6f1 (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - コメント失礼致します!大変面白く中身もきっちりと構成されていて感動しながら読んでいます(*^^*) 野暮ですが、希望としては高杉晋助が死なない方向がいいなぁと思っています、打たれ弱いので笑笑 (2月17日 15時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - りんごジュースさん» コメントありがとうございます!キュンキュンしていただけましたか!とっても嬉しいです(^^) 今後ともよろしくお願いします! (1月31日 0時) (レス) id: 4ad20a9210 (このIDを非表示/違反報告)
りんごジュース - コメント失礼します!主様の作品どれも素敵で一気に読んでしまいました笑笑どのお話もキュンキュンしてました!!これからも陰ながら応援しています! (1月30日 22時) (レス) @page50 id: 81b633d03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2023年9月10日 22時