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枯れるほどに流した涙が


頬で乾いている。




あれから10分くらい経ったのかな。


それとも、何時間も経ったのかな。




今の俺には、それすら分からない。





厚藤四郎という刀を殺してしまった。





一期一振の大事な弟。



姉さんの大事な刀。




それを、俺が........。





『ごめん、、姉さん........。一期....。厚........。』





俺はここにいていい人間じゃない。



今すぐ居なくならなきゃ。




また殺してしまうかもしれない。




『....はやく、手入れ終わらないかな。


って、俺も片付け終わらせなきゃな。........厚、どうしたらいいんだろ。』




みんなの前でまた悪者を演じなきゃいけない。


でも、厚をそのネタにはしたくない。




だからといって、ここに放置するわけにもいかない。






........連れて、帰ろうかな。





『ちょっと狭いけど、この中に入っててね。』



厚にそう声をかけると、家から持ってきていたリュックに、厚を仕舞おうとした。




改めて持つと、異常なほどの冷たさがわかり、じっと見つめてしまう。




ごめんね。ごめんね。




これしか言葉が見つからなくて。





枯れていると思った涙が、また頬を濡らす。





静かに泣いていると、廊下から声が聞こえてきた。




「A、入ってもいいかい?」




今の俺に話しかけてくれる子なんて、一人しかいない。




『いいよ。』



泣いているせいか、どうしても声が震えてしまう。




スッ....




燭「!?どうしたんだい、そんなに泣い........て、、、、、........。」




部屋に入ってきた燭台切は、俺の手元を見るなり固まってしまった。





燭「A........それ、....。」




青ざめた燭台切が、俺の手元を指さす。







『........。助けたかったのに。頑張ったのに。....遅かったみたい。




俺....殺しちゃった........。姉さんが大事にしていた刀を。みんなの大事な仲間を。



やっぱり、俺はここにいるべきじゃない。俺がここにいたら、何が起こるかわからないから。....今のみんなは、俺がいない方が幸せでいられる。



だから俺は、もうここから居なくなる。
そんで、どこか知らない場所に行くんだ。』









誰も知らない






どこか遠いところへ。

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魄鴉(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!僕も、自分で書いたものですが読み返すと切なくなります。最後まで、主くんのことを見守っていてください!ありがとうございます! (2018年8月8日 19時) (レス) id: d3265c7f63 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - いつも拝見させていただいてます。主くん切ない。続き楽しみにしてます。無理せず頑張ってください! (2018年8月8日 18時) (レス) id: 759235ef95 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:魄鴉 | 作成日時:2018年7月3日 19時

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