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Magicien 2 ページ10

逆先side


彼女の周りだけが光り輝いていた。自分の後輩は人を色に例えたりするが、もしかしてこういうものを見ているのだろうか。いや、彼が見ているものは光、とは少し違う。ならばあの光は自分にとって何なのだろうか。彼女にとって必要なものだろうか。



『もう一回』


彼女が演技をしている、その姿が見たくて、いつもその一言を口に出していた。その度に彼女はそれを困ったような顔で受け入れてくれたけれど、果たして本当にそれは彼女がボクを受け入れてくれたということなのだろうか。本当にそれは彼女自身の感情だっただろうか。それもすべて演技だったとしたら?


日を重ねるごとに、彼女とはよく話すようになった。でも、それと反比例するように彼女はクリスティーヌではないときに笑わなくなった。自分といるのが楽しくないのだろうか。迷惑だ、面倒だと、そう思われているのだろうか。台本を読んでいたときからは考えられないくらい動かない表情筋に、すこし不安を覚えた。


どうして?

心の中はそれだけで、いつからかその原因を探るように彼女と一緒にいた短い時間を思い出すようになっていた。気付けばそればかり考えて、ユニット練習の時にセンパイにも心配された。まぁ、殴っておいたけれど。


『Aねえさんの演技じゃない本当の笑顔が見てみたイ』

自分でもすこしおかしな言い方だったと思う。自分には、彼女のことが分からない。だからこそ、知りたいと願うのだ。だからこそ、その空っぽな笑顔に何か中身を詰め込みたいと思ったのだ。そのためならば、魔法を使ってもいいくらいには。

彼女は少し考えた後に

「いつも笑ってるとは思うんだけど……」

へらりと軽い笑みを浮かべてそう言った。それが嘘だということはもちろん分かったし、ねえさんもボクがだまされなかったことくらい気づいていたと思う。きっと話したくないことなのだろう。それでも、頼られない自分が情けなくて、いつかにいさん達みたいに壊れてしまうのではないか、なんて怖くなった。






ああ、また。またねえさんのことばかり考えている。



短い時間の中の、ボクと話していないときにだけ見れるあの笑顔に、感情がこもっていればいいのに。



。。。。。。。。。。
3000hitありがとうございます!!丁度3000の時に占ツクでこの小説を開いたのでスクショしました
( *´艸`)
これからもよろしくお願いいたします。

本編ではない。→←Voix de l'ange 7



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草谷 玲(プロフ) - Hana@美月姫さん» コメントありがとうございます!!長い間更新してないと話の内容を忘れてしまってちょっと放置していたのを後悔してます…w 更新遅くてごめんなさい。頑張ります!! (2017年3月11日 1時) (レス) id: 36db035794 (このIDを非表示/違反報告)
Hana@美月姫(プロフ) - テストお疲れ様です! 作者様のペースでこれからも更新頑張ってください♪ (2017年3月10日 23時) (レス) id: 6ef80e5a16 (このIDを非表示/違反報告)
草谷 玲(プロフ) - カエデさん» コメントありがとうございます。そう仰っていただけて嬉しいです。こっそりフォントも変えて、打てる文字も多くなったので、推敲はしようと考えています。主人公のしあわせを願っているので、なんとか自分の思い描いた終わりに持っていければな、と。 (2016年12月29日 21時) (レス) id: 36db035794 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 私は作者様自身が作品に愛着が持てるような作品を作っていただきたいので、推敲したいと作者様が考えるなら推敲するのに賛成です。待ってます^^ (2016年12月29日 20時) (レス) id: cc1036df59 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:草谷 玲 | 作成日時:2016年11月25日 23時

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