中王区区長の娘、ヒプノシスマイクを使います

マイクを七回 ページ10

「えっと...」
「ひゃぁ〜。」

反応しずらそうに声を漏らす独歩と何故かドラマのラブシーンでも見ているような反応をする一二三。
すると目を閉じている依早喜が小さく、口を動かす。

「あのね、こうすると、落ち着くんです。本当はハグすると一番いいらしいんだけど、依早喜、それはちょっと恥ずかしから...。」

こうするといいよって、ある人が教えてくれたんです。そう微笑んで呟く。
額を通して感じるお互いの温度。人肌に触れると落ち着くというのを、まさに実証しているようなものだった。


「あ、明日のバトルもっ、会社のプロジェクトもっ、が、頑張って、くださいねっ...！ぜ、絶対にっ、うまく行くのでッ！」


目を閉じたままそういう依早喜。手は震えていながらも、その手の暖かさから、彼の気持ちはひしひしと伝わってきた。
一生懸命に応援してくれている彼に、独歩も微笑んで答える。

「うん、ありがとう。おかげで元気出たよ。」
「はい...。...？ひゃ、ひゃあああああ！！」
「！？！？」

唐突に大声を上げてその場から三歩ほどすごいスピードで後ずさった依早喜。
顔を真っ赤にし、ブンブンと顔の前で両手を振っている。

「だ、ダメっ！！目瞑ってれば大丈夫だけど、開いたらダメっ！か、顔、ち、近っ...！」

「...ハハハ...。」

まるで本当に女子のような反応をする彼に、幼馴染2人は思わず顔を見合わせて苦笑いをした。

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