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瓜二つ ページ9

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翌年の夏の夜。
帰ることなど忘れ、中流の川で水を浴びていた。中流は流れが少し早いが、石の大きさ的に足場が安定しておるからだ。晒しを付けた胴を露わにして、髪や身体を洗う。
夏はあまり好かぬ。余計な汗で肌がベタつき、髪が張り付いてなんとも不快になる。完全な鬼ならば汗をかかぬのだろうな。
石の上に登り、置いていた着物を着る。帯が少し解れて来ておる、裁縫などした事ない。さてもありと、ふと遠くから鬼の匂いを嗅ぎ取った。
何じゃ、このでじゃぶ…。姿を変え、匂いの方へ。
森の奥の方から匂って来る。そこには鬼と、喰われそうになっておる一人のおなご。鬼の牙がその腕に喰いつ………くより先に、いち早く鬼の上半身を喰らった。

バリ…ボリッ…、メキメキ……。ゴクンッ…。

……!いかんいかん。ついイイ匂いのあまり、人の目の前で喰うてしもうたぞ。
長髪のおなごは目を見開き凝視ておる。

?「お、お前…」

おや、声からしておのこじゃった。おのこは体を震わせた後、ぱあっとした明るい顔で尋ねて来る。

?「もしかして、…お前は狛犬!?」

笑顔で尋ねてくる。眩し。
違うと言えばどんな反応をするかと思ったが、何とも純粋すぎる故、首を横に振ろうにも振れぬ。

?「本物の狛犬だ!神社の狛犬だ!」

目を輝かせ、狛犬を連呼する。その背後で小枝の落ちる音が聞こえ、振り向くとそこにはまた黒髪のおのこ。先程の奴と瓜二つ。

?「…兄さん?」

?「無一郎!おかえり!」

吃驚とした表情をしている中で、兄と呼ばれるおのこは元気に応える。

む「兄さんそいつ何?」

?「ん?狛犬」

無一郎と呼ばれるおのこは、「え…」という言葉を漏らし警戒の目で凝視して来る。が、少しか弱く細い声で、くぅうん…と鳴けば少々優しい表情になった。

む「名前、何?」

?「知らない、一応犬だし。…名前、赤とか黄色とか混ざってるから、紅葉(もみじ)でいいか」

む「今は夏だよ?」

?「うるさいなあ!季節はどうだっていいだろ!」

なぁ紅葉〜、と笑顔で妾の胸元の毛に顔を埋める。

ゆ「俺も名前教えてやる、時透有一郎だ」

む「僕は無一郎だよ」

顔も髪も何もかも同じ、二卵性双生児というのかえ。
鬼の匂いはまだ微かにする。このまま去れば、この童子達はまた襲われるだろう。
二人を体毛に隠し体を丸める。暑いかもしれんがこれは鬼の目くらましだ。念ぜよ。


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ゆ「暑苦しい…」

む「でも…、何だろう。……暖かいね」

ゆ「……うん」

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設定タグ:名前固定,愛され , 鬼滅の刃,鬼 , 男主,最強   
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(プロフ) - とても良い作品ですね!お気に入り失礼します!好きです(((更新楽しみにしています! (2020年3月7日 0時) (レス) id: 7c0e52b0b9 (このIDを非表示/違反報告)
Graecia devil sardine(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます!前に遊んだスマホアプリに出てきた女の子の話し方を真似てみました。 (2019年11月23日 12時) (レス) id: 890b359372 (このIDを非表示/違反報告)
ユラ - 面白いです!夢主さんの喋り方めっちゃ好き… (2019年11月23日 12時) (レス) id: 98acb8ec1f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Graecia devil sa-thin | 作成日時:2019年11月13日 20時

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