不思議 ページ6
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目の前に居るのは、驚いた表情をした顔に傷を付けた男。目を瞑り泣いていた故、人間の姿になり頬に触れてみた。開かれた目はじっ…と妾を捉える。
大丈夫かと問うと、男は唖然とした顔で赤面し出した。なんだ急に、風邪でも引いたんかえ。
?「っ何でもない!さっきの鬼は…」
あの姿はやはり恐れるか。あまり妾だと知られたくないので、退治したとしょうもない法螺を吹く。
?「強いんだな。名前は、えと…」
獣「妾か?妾は…獣姫じゃ」
旦那様がたまに呼ぶ時の名前。本名を言えない時に使えとも言われた。
?「じゅっ、獣姫…?…妾?」
獣「気にすな。…して、お主は名を何と申すかえ」
錆「俺は…、鱗滝錆兎だ」
錆兎か、良い名だな。水色の刀を持っているが、その刀身にはうっすらと亀裂が入っている。
獣「錆兎、お主は此処で何をしておるのだ…」
錆「俺は……!真菰、真菰は…!」
真菰、と呼ばれる者はおなごだろうか。耳を澄まし、木々の遠くの方を指す。
獣「…彼方の方に人の気配を感ず。お主の、真菰と言うおなごかもしれんぞ」
錆「そうかっ…、あの…」
獣「何なり…」
錆兎は手を差し出してくる。何だ?
錆「此処、藤襲山は危険だ。一人ではいつ鬼に食べられるか分からない、俺の様に…」
もしあの時妾が通り掛からなければ今頃…。錆兎は恥ずかしそうに手を向ける。別に守られなくとも襲われる心配などない、危ないのは鬼共の方だと言うのに。
せむかたなく手を取り、真菰とやらの元まで行く。
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錆「真菰!」
真「あ、錆兎…。その人は?」
真菰と呼ばれたそのおなごは小柄で、優しい表情をしておる。
錆「彼女は獣姫、この山に迷って来たんだ」
先程、そういう事にして錆兎に話した。
真「そうなの。私は真菰。よろしくね、獣姫」
獣「ああ、よろしゅうな。真菰」
真「…ふふ、変わった人」
後から聞いた話だが、どうやら二人は鬼殺隊という政府には認められていない鬼を狩る組織に入るための試験を受けている最中だそうだ。この藤襲山の中で七日間生き残り、麓まで降りるのが試験内容らしい。
今日が六日目である故、明日には麓へ向かうとの事。此奴らが旦那様の言っておった鬼狩りか。
真「所で気になったんだけど、獣姫は何でそう言う話し方をするの?昔の人みたい」
獣「親族もこの言葉遣い故、妾もそう話しとるんやえ」
錆「そうなのか…」
……二人を麓に送ったら、すぐに山を去ろう。この若人達にはまだ、獣の姿だとバレたくないからな。
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虚(プロフ) - とても良い作品ですね!お気に入り失礼します!好きです(((更新楽しみにしています! (2020年3月7日 0時) (レス) id: 7c0e52b0b9 (このIDを非表示/違反報告)
Graecia devil sardine(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます!前に遊んだスマホアプリに出てきた女の子の話し方を真似てみました。 (2019年11月23日 12時) (レス) id: 890b359372 (このIDを非表示/違反報告)
ユラ - 面白いです!夢主さんの喋り方めっちゃ好き… (2019年11月23日 12時) (レス) id: 98acb8ec1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Graecia devil sa-thin | 作成日時:2019年11月13日 20時