検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:11,184 hit

3. ページ4

.





「名前は?」


「タナカジュリ」


「ジュリ…」


「君は?」


「え…教えなきゃダメ?」


「俺 教えたのにそっちが教えないってのはダメ」


「京本大我」








初めて自分の名前を人に教えた



考えてみれば母親以外と話すといえば…








「ねぇ、いつもここにいんの?」


「いる」


「一人で?」


「うん。悪い?」


「いや…悪くはないけどつまんなくない?」


「別に。犬と話してるし」








犬くらいだ。



ジュリという茶髪男は不思議そうな顔を向けてくる


犬の存在が分からないとか?








「え、犬と話せんの?」


「なんとなく言ってること伝わるからね」


「へぇ…やっぱ変わってんね」


「馬鹿にしてる?」


「褒めてる」








こういう時、『普通』が分からないと困る


でも、きっとジュリは普通じゃない








「ねぇ、これほどいてよ」


「じゃあ、俺と…トモダチになって」


「へ?」


「だからっ、俺とトモダチになれ!」








人と話していると「ワン」以外の言葉が返って

くるのを知っているはずなのに、

何だか話しているだけで初めての感覚が味わえる




友達になれば、その感覚をいっぱい味わえる

かもしれない…








「わかった」


「ジュリの方が変わってるんじゃない?」


「あのさ、俺はなんて呼べばいいの?」


「んー…」


「たいが?」


「やだ」


「京本さん?なんかよそよそしい」


「……」


「きょーもとたいが…きょもとか?」


「短いしそれがいい!」








名前が決まったと同時に紐が床に落ち、

立ち上がったジュリに俺は抱き締められて、

「きょも、これから宜しく」と言われた




細いけど温かくて、いい匂いがした





.

4.→←2.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
105人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:グリブラ | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2019年7月24日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。