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絵だけが、閉ざされた狭い世界の中の
唯一の自由な場所だった
例えこの世に存在しない場所だったとしても、
目を閉じ想像し絵に描きおこしていけば
まるでその世界に自分が存在している気分になれる
勉強なんて、最低限のことを理解していれば
生きていく中で使う事なんてほとんどないのに…
窓の外に広がる青空を見ても、
昔のように空を飛んで行くことは出来なくなった
いろんな場所には行けるのに、どうしてだろうか
なんて思ってると、突然 扉が開く音がした
「お母様?」
でも呼び鈴が鳴っていないし、
途中にあるらしい階段まで紐を引っ張った
覚えがない
部屋に上がってくる音がし、正体が見えた途端
俺は初めて母親以外の人を見て、思わず後ずさった
「っ、誰」
俺とは違う茶色の髪で、歩き方も、服装も、
全部が俺とは違う人だった
驚いた俺に彼は追い討ちをかけるように言ってきた
「あの、俺と友達になってください!」
頭を下げられ、困惑を通り越して引いてきた
更に後ずさりすると、手にキッチンに置かれた
ナイフが当たり、俺はそのナイフを掴んで
茶髪男に向けた
だって知らない世界の人にこんな近づかれたら
誰だって警戒するに決まってる
「そこ、座って」
「え」
「早く座って」
「はい」
とりあえず座らせて、えっと…紐で椅子に固定
させて、危害を与えられないようにしよう
俺は茶髪男を座らせた瞬間にその考えを実行した
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