共に学ぶ ページ31
「お前、外の言葉が話せるんだな」
Aから顔を逸らして獪岳は言った。
そこからまた静かな時間がやってくる。
少しして獪岳がAの顔を見ると、彼女は口元に手を当てて肩を震わせていた。
「.........なに笑ってんだよ」
Aはコホン、と笑いを治めると獪岳に近づいた
「ふふ、自分は話せないから...って木の影にかくれてたんだって思ったら、笑えてきちゃって」
どうやら先程の行動はお見通しだったようだ。
性格の悪い女だと獪岳は眉をひそめた
「ねぇ、外の言葉に興味あるの?あるなら一緒に勉強しない?」
「なんで俺が......」
ぶっきらぼうにこたえるも、獪岳は興味があった。
しかしそれを習得できるのかという気持ちもある…
そんな獪岳の気持ちなど知らぬAは目を輝かせて言った
「だって貴方、覚えるの早いじゃない!先輩の言ったこともすぐ理解出来てるでしょ?きっと学び始めたら私なんてすぐ抜かされちゃうわよ」
獪岳は驚いていた。いつも人を下に見ているようなこの女が俺を......?
「私羨ましいなってずっと思ってたの。貴方のそれは才能だわ。自信を持った方がいいし、それをもっと色んなことに活かすべきよ」
学びは人生を豊かに、楽しくするからと言う彼女に、嗚呼そんな考え方もあるのかと頭の隅で思いながら藤の家に帰った。
・
「おい、この食材どうするんだよ」
町で言われ他通りに買ってきたが、お金はコイツから渡されていた。
獪岳がどうするのか聞くとAは思い出したようにこたえた。
「あぁそれ......藤の家の人からのお使いだから、厨房に持っていけばいいと思うけど」
そう言われしぶしぶ厨房に持っていき、飯炊きの人間に買ってきたものを渡した。
その人は獪岳の買ってきた食材を見て大変喜び、今夜はたくさん美味しいものをつくりますからねと微笑んだ。
厨房を出て部屋に戻るとAがいた。
彼女は机に紙と本を広げて座っている。
「ほら、早速英語の勉強するわよ
まずアルファベットを書く所から始めましょ」
獪岳を座らせ、手に鉛筆を持たせたAは手本と紙を彼の前に置いた。
獪岳はこの時、鉛筆を初めて手に持った。そして少し焦っていた。鉛筆の持ち方を知らなかったのだ。筆とは持ち方が少し違うらしいと言うのは聞いていたが、どうやって持っかなんて知らない。
そしてここから、Aによる獪岳への文字の書き方指導が始まることになってゆく。
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Ms3(プロフ) - 間違えて前作にコメントを送ってしまいました。すみません。この話ほんと大好きです!更新ずっと待ってます! (2022年2月5日 13時) (レス) @page32 id: 97ad62886e (このIDを非表示/違反報告)
どまたん - 面白いです!頑張ってください (2020年11月15日 19時) (レス) id: 4fadde88bd (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 希乃夏さん» ありがとうございます!嬉しい...。更新頑張ります!! (2020年4月9日 17時) (レス) id: 2740432cb0 (このIDを非表示/違反報告)
希乃夏(プロフ) - 怖い話大好き人間なので、続きが気になります!更新頑張って下さい! (2020年4月9日 2時) (レス) id: 65dd38510e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 春雷さん» ありがとうございます!更新できてなくて申し訳ないです...。頑張ります!番外編いいですね ...お話考えてみます! (2020年4月7日 14時) (レス) id: 2740432cb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばりぼり | 作成日時:2020年3月18日 18時