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22.町外れの宿 ページ19

はぁ...と獪岳が大きなため息をついた。
ここは宿屋の一室である。


「なんでまた同じ部屋なんだよ...布団も一組しかねぇし」

「仕方ないよ、他の部屋は空いてないって言われたでしょ。お風呂使わせてもらえるだけ有難いと思わないと」


私たちが泊まることになったのは至って普通の宿屋。
町からは少し離れた場所にあるが、部屋の明かりが沢山ついていることから多くのひとが此処に泊まっていると予想できた。


泊まれるかどうかわからなかったが、一部屋だけなら空いていると言われこの部屋に泊まらせて貰うことにした。





「風呂入るのは止めとけ。どうしてもってんなら、水桶に手ぬぐい濡らして体拭けよ」



そう言って獪岳は水桶に自分の手ぬぐいを濡らして体を拭き始めた。



「お手本見せてもらわなくても、それくらいできるよ?」

「あのな、俺だって体拭きてぇんだ。
お前はついでなんだよ。...おい、人の体ジロジロ見てんじゃねぇよ」



獪岳の鍛えられた身体に見惚れていたら怒られてしまった。






それからは同じ布団に入り、互いに反対方向を向いて目を閉じた。




そういえば、この宿の中に入ってからは人の気配が少なかった。外から見た時は賑わっているように見えたのに



「ねぇ獪岳、この宿ってもしかしてー」



獪岳の方を向きながら話しかけようとしたが、言葉を途中で止めた。

規則正しく息をして獪岳は眠っていたからだ。


ぐっすり眠っている獪岳を見て、先程彼と会った時の事を思い出す。



...私の事、ずっと捜してくれたんだよね。



獪岳は口には出さなかったけど、心配してくれたんだと思う。隊服も汚れていたし彼が体を拭いた手ぬぐいは汗などで変色していた。

隊服を気崩したりはするけど、いつも身なりを綺麗にしている獪岳にしては珍しいと思ったのだ。


つまり、身なりを整える事より私を優先してくれたってこと。


「ありがとう。いつも心配かけてごめんね」


獪岳がたまらなく愛おしくなった私は、彼の背中に抱きついて眠りについた。

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Ms3(プロフ) - 間違えて前作にコメントを送ってしまいました。すみません。この話ほんと大好きです!更新ずっと待ってます! (2022年2月5日 13時) (レス) @page32 id: 97ad62886e (このIDを非表示/違反報告)
どまたん - 面白いです!頑張ってください (2020年11月15日 19時) (レス) id: 4fadde88bd (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 希乃夏さん» ありがとうございます!嬉しい...。更新頑張ります!! (2020年4月9日 17時) (レス) id: 2740432cb0 (このIDを非表示/違反報告)
希乃夏(プロフ) - 怖い話大好き人間なので、続きが気になります!更新頑張って下さい! (2020年4月9日 2時) (レス) id: 65dd38510e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 春雷さん» ありがとうございます!更新できてなくて申し訳ないです...。頑張ります!番外編いいですね ...お話考えてみます! (2020年4月7日 14時) (レス) id: 2740432cb0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ばりぼり | 作成日時:2020年3月18日 18時

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