<…着いてきて> ページ17
森を…殺さないで
確かにその子はそう言った。
ラビと顔を見合わせ、聞き間違えではないことを確証する。
今はもう、陰に隠れてあの子の顔は見えなかった。
でもそれでも確かに、確証を持って言える。
その声に、その言葉に、悪意は含まれていなかった。
悲しみと、そして純粋な言葉。
森を殺さないで。
…それが、この子がずっとここにいた理由?
「…この森に…何かあるの?」
<…>
長い沈黙。
ラビでさえ、じっと武器を握りしめたまま口を閉ざしていた。
一方私は、何かまずいことを言ったのだろうかと不安さえ感じた。
だけどその少女が次にとった行動は、踵を返すことだった。
音は無い。実感もない。
だけどただ、ゆったりと、緩慢としたその動きが
ゆらりと滑らかに動く身体。それと一緒になびく髪。
音もたてず、その姿はゆっくりと森の奥へ進み始めた。
<…着いてきて>
風と共に聞えたその声は、もう悪意なんてなかった。
道しるべも何もない森の中を、まるで記憶しているかのように前へ、時折左右へ曲がり、その子は歩いて行った。
その後ろを、ざくざくと音を立て、時折突き出た枝などに苦戦しつつもついていく私たち。
少し、不思議な感じだ。
てっきり戦闘になると思っていたが、思ったより避けられそうだ。
向こうも敵意がないとわかったんだろう。
幽霊特有の力でもあるのかな…?心を見透かしたり…?
あれだけの強風を巻き起こせたんだから、心を読むくらい余裕そう…。
***
もしかして罠にかかったんじゃないだろうか、と思うくらい長い時間歩いた。
足はとうに疲れ果てていて、もう無理やり歩いている気分だ。
足が張っているというか、握りしめられているような痛みが続き、すでにくたくただった。
隣にいるラビは疲れは顔に浮かぶも、自分よりはさくさく進んでいた。
流石男の人…。
しかも、少女は疲れを微塵も見せず、ただ前を進む。
足跡も残さず、音も出さず、突き出す枝を躊躇せずすり抜ける。
…幽体って便利かもしれない、と少し思ってしまった。
でもやっぱり、死んでる…んだよね…
ふ、と私はじっと少女の姿を見つめてみた。
白いワンピースがふわふわと動いてる。
…そこに「居る」。「存在」してる。
…だけど「居ない」。
世界中どこを探してもどこにも…いない。
許されない。赦されない。
でも、消えられない。いつまで?独りで?
…悲しい
突然私たちは開けた荒れ地に立っていた。
…そしてそこにあったのは…
<…着いた>
…小屋…?
<…“彼”は…私にとって、誰よりも…大切だった人…>*→←「大丈夫さ。」
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シャル@如月唯奈(プロフ) - わかる、アレンてかっよすぎるよね…(鼻血)(///ω///) (2019年11月17日 20時) (レス) id: 38d229791e (このIDを非表示/違反報告)
耀 - 私と生年月日とか星座一緒だ! (2019年4月8日 6時) (レス) id: c519b7d787 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ@アレンがカッコ良すぎてヤバいww(プロフ) - うにゃさん» 違うの!?でもすげえ!! (2014年1月11日 16時) (レス) id: 339baa305b (このIDを非表示/違反報告)
うにゃ(プロフ) - ルリ@アレンがカッコ良すぎてヤバいwwさん» 中国語ね、タイプしてみたんだけど投稿したら、日本語には存在しない字が記号化されちゃってやべぇどうしようwwと思ってるから今、あれ微妙に中国語じゃないよ( (2014年1月11日 14時) (レス) id: ef039a1947 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ@アレンがカッコ良すぎてヤバいww(プロフ) - 中国語読めねぇ…読める? (2014年1月11日 10時) (レス) id: 339baa305b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うにゃ | 作者ホームページ:
作成日時:2013年9月28日 1時