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「まさか」 ページ9

「ブロー……カー……?」

嫌な予感しかしないその響き。
なんだか、クラッカーみたいな悪徳の類と同じ響きがする。

「千年伯爵に仕える人間」

鼓動が煩い。
勝手に手が汗ばむ。

私は、知っている気がする。

知っている、気がする。

「協力者、と書いてブローカーって読むんさ」
「協力……者」

じわりと手汗がにじみ、寒気がした。
どうして、いやだって……。

「人間でありながらノアに従属し、AKUMAの材料を提供する奴らのことさ。 金の欲しさに目がくらんで、いろいろやってのける」
「そう……なんだ」

ブローカーって、呼ぶんだ。
あの人のことは、ブローカーって、
……呼ぶのか。

「それが、どうしたの?」

喋りながら、口内がいやに乾いていることに気づく。
喉が乾いているように、一文字一文字が張り付く感触。
いやな気分だ。とても。

「おかしいとは思わねぇか?」
「……視線のこと?」
「あぁ。 唐突に今日、いやな視線を感じ始めた。 あんなでかい食堂の中で、昨日見かけたやつは一人もいない」
「……っ、まさか!」

「どうやらその、まさかみてぇさ」

ぞわりと背筋が栗立つ。
後ろに、何かいる。
恐ろしくて禍々しくて、想像したくもないもの。
振り返りたくもないのに、振り返ってしまった。

…………最悪だ。

「AKUMA…………!」

先ほどの食堂にいた人たち。
おそらく彼ら全員が、涎を垂らすほど口を大きく広げ笑みを浮かべていて、生気のない人形のような目でこちらを見ていた。
だらりと垂れている四肢は、彼らが人間でないことをありありと知らしめてくれる。

「ラビ……この人数を一人で相手するのは?」
「……ちときついさ」

そっと私は袖口からナイフを取り出す。
ただの護身用としてこっそり持ってきたものだ。
問題はこれがAKUMA相手に仰天してしまうほど使えないということだ。

「……死亡フラグ?」
「泣けること言うなって」

隣でラビがイノセンスを解放したのを感じた。
私もナイフを構え、敵を見据える。
未だに敵はAKUMA化せず、何かを待っているような様子だ。

「AKUMAにナイフは効かねぇぞ」
「知ってる……!でも、レベル1ばっかなら弾丸くらいは弾き飛ばせると思うから」
「お前そんな戦闘スキルあったっけか?」
「シューティングマシーンでこっそり特訓してた」

マジかよ、と笑うラビ。
そして自然に瞬きをした、刹那。

いくつもの銃口がこちらに向けられていた。

「……死ぬんじゃねぇぞ」
「まさか」

「ようやく努力が報われるときが来た……!」→←「お前、ブローカーって知ってるか?」



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作品ジャンル:アニメ
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∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます!もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ!と茶舞台ひっくり返したい思いです! (2014年9月6日 12時) (レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも!mo-taです。この作品すごく面白いと思います!!更新楽しみにしてます! (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです!またコメくださって本当に嬉しいです!クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい( (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(?)です!ク、クロちゃんが...クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(゚д゚lll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…!ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年5月18日 18時

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