【D.gray-man】 Sorry but Goodbye -Terzo-

「っ……人が話してるのにその態度……？」 ページ50

まるで私のことなんか心底どうでもいいというような言葉に、私は愕然となった。
それと同時に、ぶわっと羞恥が体の底から顔まで湧き上がる。

まるで一人熱くなって、周りに冷めた目で見られてるみたいだ。
平たく言えばその通りなんだけど。

だけど認めたくなくて、私は思わず目の前の女の子から目を逸らす。

「話、終わったぁ？」
「っ……人が話してるのにその態度……？」

悔し紛れにそんな負け犬の遠吠えみたいな言葉を吐く。
だけどそれを聞いた女の子は私を一瞥。
そしてすぐ、まるで見る価値もないというように私から目を逸らした。

それが辛くて悔しくて、ただ無力に無知に歯を食いしばる。
あまりにも強く噛みしめたせいで、痛みすら感じていた。

「だって僕、お前の話に興味ないし」
「……っ！」

蝋燭は先ほど壊したはずなのに。
信じられないほどの火事場の馬鹿力で蝋燭は握りつぶしたはずなのに。
なのに何故、まるで心臓を蝋燭で思い切り貫かれたような痛みがするのだろう。
その痛みはじわじわと体全体を侵食していく。
指先まで痛みで侵され、涙すら出てこなくなる。
やがて、自分を失いだすようなそんな狂いそうな痛み――……。

「あれ？泣くのぉ？」

その言葉に、出そうになった涙を意地でも堪える。
そうだ、こんなやつに涙なんか見せてたまるもんか。
たとえ自暴自棄と言われようと、涙だけは零すな。
いくら泣き虫だって、私にだって維持はあるんだから。


………………

――――？

ふと、疑問が頭に浮かぶ。

なんで私は、こんなにも意固地になっているのだろう。
たった一人の煽りに対し、まるで馬鹿みたいに反応している。
ただの一言に心を痛ませ、涙まで零そうとしている。

……いつから私はそんなに軟だったっけ？
それにそんなに打たれ弱かったなら、クロス師匠の言葉によってとっくに絶命くらいしているはずなのに。

それなのに初対面の、私のことをまるで知らない女の子に煽られて、何も言い返せないまま泣きそうになっている。
私はそんなに弱くなかったはずなのに。
弱くなった？
そんなはずはない。

でも、まるで私の痛いところを理解しているかのように、的確に突いてくる。
まるで私に心の闇を、理解しているような言いぐさだ。

……どうして――？





やがて、教団の中の者たちがAの不在に気付くまでにどれほどの時間がかかるだろうか。

この小説の続きへ→←「私はっ」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す