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「私はっ」 ページ49

「お前、僕たちのこと知らされてないのぉ?」
「――……え」

唐突にそんなことを言われ、恐怖も忘れて思わず聞き返す。
だけどすぐに鋭利な蝋燭の存在を思い出しじわりと恐怖を思い出した。
思わずヒッだなんて引き攣った悲鳴をあげてしまい、自分で自分が嫌になる。
弱虫は本当に嫌いだ。それが自分自身だと、特に。

「ふーん……信用されてないんだぁ」
「……なっ」

漫画のように言うなら、今の私の感情は「カチン」じゃないだろうか。
最初はリナリーちゃんに顔を比べられて、今は勝手に教団に信用されていないと憶測される。
そんな、まるで私がダメ人間みたいな言葉の羅列に頭に来ない方がおかしいだろう。
もともと私は気の長い方ではないのだ。

「何……人の価値を決められるほど貴女は相当偉いみたいですね。 どこの貴族さんですか?これは大変失礼な態度を取ってしまいました」
「……何いきなりぃ?」
「私はっ」

思い切り首元の蝋燭を掴む。
咄嗟なことで女の子も反応できずにいたのか、目を見開いたまま何も行動はない。
思いっきり力を籠めて蝋燭を握りしめれば、鋭利な部分が指に刺さる感触がした。
一瞬ひるんだけど、絶対に弱みは見せたくなくてすぐに強がる。

「確かに私は弱い!リナリーちゃんみたいに可愛くないし、みんなみたいに美形じゃない!イノセンスだって言うことを聞いてくれないし、失敗ばかりで皆に迷惑かけてばっかりなのは自分が一番わかってるんだよ!」

まるで噛みつくように吠える。
言いたい言葉をまとめて投げかけるように、頭に浮かんだ台詞を次々と口にする。
体中が熱くて熱くて、顔はもう真っ赤なんじゃないかと思うほど。
それでも言い足りなくて、ついさらにきつく蝋燭を握りしめた。

「だからってはいそーですかって諦められるか!諦めの悪さは自分が一番理解してるんだよ!じゃなきゃ、クロス師匠に受けたあの地獄の日々はなんだったってんだ!」

馬鹿みたいに叫びまくって自分が恥ずかしい。
だけどそんな羞恥を全部無視するように私は叫ぶのをやめない。
思わず涙が零れそうになったけど、堪えて堪えて、そして堪えた。

「アンタにとやかく言われる筋合いはないんだっ!」

パキリ、ともともと脆かった蝋燭が私の手の中で折れた。
その様子を、女の子は少しだけ目を見開いて黙ったまま見ている。
しばしの沈黙が二人の間に流れ、私は肩を上下させ息をした。

そんな最中、女の子は宙を浮きながら一言。

「ふーん……それでぇ?」

「っ……人が話してるのにその態度……?」→←「あ、あれは、私の勘違いで!」



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作品ジャンル:アニメ
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∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます!もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ!と茶舞台ひっくり返したい思いです! (2014年9月6日 12時) (レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも!mo-taです。この作品すごく面白いと思います!!更新楽しみにしてます! (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです!またコメくださって本当に嬉しいです!クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい( (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(?)です!ク、クロちゃんが...クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(゚д゚lll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…!ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年5月18日 18時

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