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「……本当、ですか?」 ページ47

瞬時に顔に朱が走った。
慌ててクロウリーさんの視線を避けるように、私は自然と俯いてしまう。

「わ、私を女の子扱いするのはクロウリーさんだけですよ!」
「……そうであるか?Aはどこからどう見ても女子だというのに」

そういう意味ではないのだけれど、と少しだけ天然なクロウリーさんに笑ってしまう。
未だに首を傾げ続けるクロウリーさんに言葉を濁してから、話題を変えることにした。

「ってことはクロウリーさんはしばらく任務無しですか?」
「……それはまだ分からない。 エクソシストはいつだって足りてないのでな」
「そうですね。 私もそろそろ任務が恋しいです」

何はともあれイノセンスは私の手の中に戻ってきたのだ。
しかもレベルアップして。
新しい問題も湧いて出たけど、それでもやっぱり嬉しいことには変わりはなかった。

また、私は戦場の上で戦える。
誰かのために命を賭せるのだから。

大嫌いだったはずの異様な文様が映った両手を見つめながら自然と顔がにやける。
それが面白かったのか、頭上でクロウリーさんがふっと笑うのが聞こえた。

「どうかされましたか?」
「いや……Aは戦うのが好きなのだな」
「んー……怖いのは嫌いですけど、誰かを救えることが出来るのならやっぱり嬉しいですよね」

月並みな台詞で、思わず照れながら言ってしまう。
だがクロウリーさんはそんな私を笑うことなく、ゆったりとした笑みを浮かべる。
そしてその細く長い指で私の頬を撫ぜた。

「Aは、いい子だな」
「……へ?」

そんな言葉は初めて言われたと思う。
親には言われたことがあるかもしれないけど記憶に残ってないし、師匠は褒められる以前の問題だ。
教団に来て……「いい子」だなんて、そんな言葉……

じわりとまるでぬるま湯が体を伝うように温かみが体に染みていく。
あまりの温かさに思わず涙さえ出そうになっていた。
だけどこれ以上泣き虫だと思われたくなくて、ぐっと唇を噛みしめ堪える。

「……本当、ですか?」

そんなことない、なんて謙遜はできない。したくない。
だって初めて貰えた褒め言葉なのだ。
これだけは、素直に受け止めさせてほしい。

「あぁ」

その一言だけで、私の顔に輝かんばかりの笑みが広がったと思う。

その日の朝食はいつもより美味しくて
昨日あんなことあったばかりだったというのに私の顔は明るくて

きっとそんな私を見ていた教団の人たちは、みんなすごく不思議だったと思う。

「あ、あれは、私の勘違いで!」→←「そういえば私もう人見知りしないなぁ……」



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作品ジャンル:アニメ
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∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます!もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ!と茶舞台ひっくり返したい思いです! (2014年9月6日 12時) (レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも!mo-taです。この作品すごく面白いと思います!!更新楽しみにしてます! (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです!またコメくださって本当に嬉しいです!クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい( (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(?)です!ク、クロちゃんが...クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(゚д゚lll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…!ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年5月18日 18時

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