「……私が、二重人格かぁ……」 ページ44
結局親の顔は思い出せなかった。
顔はおろか名前も、声も、彼らの存在していた証何もかも。
ただ、僅かにおぼろげに、存在していたという記憶を除いてはすべて。
正確な年齢も忘れてしまったけれど……捨てられた当時。
既に物心がついていたはずなのに、それ以前の記憶が僅か数えるほどしかない。
泣きたい思いだった。
だけどまるで涙が枯れ果てたどころか、涙なんて存在しないかのようにまったくそれは流れることはない。
頭が真っ白なまま、談話室のソファーに腰かけた。
『信じねぇならお前の言うスノーレディに聞いてみろ。 俺は3年前、そいつからすべてを知った』
そう言い残して、クロス師匠はいなくなった。
恐らく教団の中にはいるが、どこにいるか探す気力もなかった。
それどころか今の私には自分の部屋に帰る気力も、どこかへ行く気力もない。
いつだって空腹を告げていたお腹も、まったく食事を受け付けなさそうだ。
そういう気分ですらない。
「……私が、二重人格かぁ……」
スノーレディを今まで私以外として扱ってきた。
だけどそれがもう一人の私だと知った今、どうすればいいか分からない。
それをどう受け入れていいか分からない。
考えても見てほしい。
知らない間に自分の体が、自分だけど自分じゃない誰かによって動かされている。
そしてその間の記憶が私にはまったくない。
体を好き勝手にされていい気分になれる人なんて存在するだろうか？
少なくとも私にとっては、それは最悪な事実だった。
「……Aちゃん」
「……！リナリーちゃん……どうしたの？」
そっと問いかけると、リナリーちゃんが私の前のテーブルにコップを置く。
中には湯気を立てるホットココアが並々注がれていた。
もう夜中近い時間だし、ココアを飲むのに良さそうな時間帯だ。
軽くお礼を言ってから、ココアに口をつける。
思ったよりも熱くなかったココアは、優しく私の口内を甘さで満たした。
「聞いたわ、Aの……その、人格のこと」
「……あぁ……今頃みんなに知られてるころかな？」
自嘲気味に笑うと、リナリーちゃんの表情が少しだけ歪んだ。
美人だから、そんな顔をされると罪悪感が湧いてしまう。
彼女がそんな顔をする必要はないのに。
「……どう、するつもりなの？」
「……どうもしないよ。 スノーレディを受け入れて、二重人格を治す。 それしか方法がないからね」
そう笑えば、リナリーちゃんは俯いた。
私だってわかってる。
そんな簡単には割り切れない。
「あの子はこれから、どうするの？」→←「……いつから、ですか」
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∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます！もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ！と茶舞台ひっくり返したい思いです！ (2014年9月6日 12時) (
レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも！mo-taです。この作品すごく面白いと思います！！更新楽しみにしてます！ (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです！またコメくださって本当に嬉しいです！クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい（ (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(？)です！ク、クロちゃんが．．．クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(ﾟдﾟlll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…！ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年5月18日 18時
